[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

山縣亮太が「10年に一度の風」を呼ぶまで 見放された男の挫折、愚直さ、そして9秒95

山縣は会見で笑顔を咲かせた【写真:奥井隆史】
山縣は会見で笑顔を咲かせた【写真:奥井隆史】

体が動かなくても頭をフル回転「怪我は走りの課題を突きつけてくれる」

 広島の名門進学校、修道中・高を経て慶大に進学した異色のスプリンター。心は折れかけたが、頭を使うことだけはやめなかった。「怪我は走りの課題を突きつけてくれるもの。しっかり克服できれば良い走りができる」。学業で得た“学び”を無駄にせず、PDCAサイクルを突き詰める力を競技力向上にも生かしてきた。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 大学時代からコーチをつけず、一人で試行錯誤する様は「孤高」と称された。しかし、2月から母校・慶大でコーチを務める高野大樹氏に師事。授かったのは客観的な視点だった。股関節など体の幹となる部分を安定させることで、膝、足首のブレを減らした。

「膝に負担をかけない補強メニューを教えてもらった。頭の中では動きを変えないといけないとなんとなく思っていても、どう変えていくのか練習メニューの引き出しがなかった。高野さんは課題、僕の言葉を理解してメニューを出してくれる」

 そんな姿を見守ってきた高野コーチは、28歳の変化を明かす。アスリートとして、人としての魅力も付け加えた。

「課題を聞いてそれについてどう取り組むか一緒に考えた。怪我なく練習できた成果。悩まされた怪我がなくなって、痛くなりそうな傾向を自分で察知して、『このエクササイズをやれば負担がなくなる』とよく理解したのが大きな変化だと思います。

 山縣の中で、セルフコーチングのスタイルは変えていない。その中でコミュニケーションをとるようになった。間違っていることがあったら教えてほしい、と。2月から練習を見ていて、学生との練習で笑顔を見せていた。山縣の中で仲間のいる感覚があったと思う。

 長所は探求心、準備力。そこは大きい。負けず嫌いだし、走り出してうまくいかなければ、途中から流してもう一回仕切り直す。普通なら(中途半端のまま)やめてしまう。それが山縣の強さだと思います。練習をコツコツやってきた。シンプルな作業。本当にそれだけです」

 特別な魔法を使ったわけではない。単調な練習を愚直にやり通してきた。4月末の織田記念国際は雨と寒さの悪条件の中、10秒14(追い風0.1メートル)で優勝。帰ってきた姿は復活を印象づけた。

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集