時給1000円→“億超え”クリケット選手目指す 道の駅で働く23歳日本代表候補の野心
警察官の試験を受験も…辞退し栃木・佐野市へ移住
大学4年間もクリケットで活躍。「スポーツでお金を稼ぎたいとずっと思ってた」という脇田は、海外でプロ選手になることを本気で考えていた。日本ではマイナー競技だが、世界で見ればサッカーに次いで競技人口2位とも言われている。海外には、年俸30億円を稼ぐプロもいるほどだ。
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大学4年時には警察官となるための筆記試験を受験。合格していたが「これが本当にやりたいことなのか」と思い直した。プロを目指すため辞退すると両親に宣言。最初は反対されたが「ゴリ押しして」了承してもらった。
「健康診断で7000円払った後だったので『いま言うなよ……』と困られました(笑)。割と僕は言うこと聞かないので、多分言っても無駄だと思われたんじゃないでしょうか」
大学卒業後の2020年、佐川急便の配達員として半年間働いた後、他の日本人選手とともにクリケットが盛んなオーストラリアに渡り、地元のクラブチームで修行する予定だった。ただ、新型コロナウイルス大流行の影響は大きく、オーストラリアに行くことはできなかった。
日本国内にいながら、本気で海外のプロ選手を目指すならどうすればよいか。考えた末に佐野市への移住を決めた。
佐野市は“クリケットのまち”として地方創生を進めている。日本で唯一の国際規格グラウンド、雨が降っても練習できる施設があり、日本クリケット協会の本部も置かれている。「いずれは行ってみたいと思っていた」という日本最高の環境でレベルアップし、海外挑戦に備えることにした。
現在は道の駅「どまんなか たぬま」でアルバイトをしながら、合間を縫って練習に励んでいる。栃木名産のいちご「とちおとめ」など新鮮な農産物を中心に販売。時給1000円、陳列やレジ打ちなどが仕事だ。
「大阪弁が出るので、お客さんから『どこから来たの?』と言われることもあります。話が広がるので、クリケットをやっていることは伝えるようにしてますね」