日本人がトリプルアクセルに惹かれる理由 世界3人目の成功者・中野友加里が語る魔力
「一度跳んでしまうと、また跳んでみたくなる。それがトリプルアクセル」
もう一人、日本人で代表的なトリプルアクセルの使い手といえば、浅田真央さん。
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中野さんが特に覚えているのは自己最高点で優勝した14年世界選手権といい、「もともと筋力を生かして跳んでいる印象だったものが、2010年に佐藤信夫コーチに師事してから完成度がさらに上がり、公式練習から見ていて失敗する気がしないくらい。もともとの素晴らしさをさらに超えていった大会だったと思います」と思い返し、非凡な能力を証言した。
伊藤みどりが初めて成功させてから33年。世界では12人の女子選手がISU公認大会で認定させた。12月の日本選手権では紀平が成功させて優勝。樋口新葉、吉田陽菜、河辺愛菜らも挑戦したことは記憶に新しい。
中野さんは「全日本でたくさんの選手が挑戦し、トリプルアクセルが選手にとってすごく身近になっていると感じました」と言い、変化を喜んだ。
「それが当たり前なんだ、時代は変わったんだと。ほかの選手も練習ではたくさん挑戦し、すでに成功しているのではないでしょうか。ロシア勢が次々と4回転ジャンプを跳び始め、4回転を跳ばないと勝てない時代と言われています。確かに基礎点では4回転の方が高いですが、トリプルアクセルも跳べばプログラムの構成、見栄えも確実に変わってくる。戦える一つの武器になります。未来につながる選手がたくさんいると垣間見えました」
4回転サルコウとともにトリプルアクセルを武器にする紀平が初優勝を目指す世界選手権(ストックホルム)が24日に開幕。その成否がカギを握る。最後に、中野さんにとってのトリプルアクセルの魅力について聞くと「トリプルアクセルって、病みつきになるものなんです」と表現した。
「一度跳んでしまうと、また跳んでみたくなる。誰しもができる技ではないので、だからこそもう一度、人に見てもらいたくなる。それが、トリプルアクセルというものなんじゃないかと思います」
同じ「トリプル」がつくジャンプでも、多くの者が挑戦しては跳ね返される高い壁。だからこそ、選手もファンも、その魔力に魅了される。
■中野友加里/THE ANSWERスペシャリスト
1985年生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子選手として史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を務めるほか、審判員としても活動。15年に結婚し、2児の母。自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」を開設し、人気を集めている。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)