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トップリーグ開幕から3週間 バレット、レイドローら“豪華助っ人”パフォーマンス診断

サントリーのSOボーデン・バレット【写真:編集部】
サントリーのSOボーデン・バレット【写真:編集部】

最注目バレットは鮮烈デビュー、チームメートも絶賛

 ペレナラとニュージーランド代表、スーパーラグビー・ハリケーンズでHB団を組んできたのが、サントリーのSOボーデン・バレット。2度の世界最優秀選手に輝く、ファンの注目度ナンバーワンの指令塔だが、こちらも3試合連続で先発出場して、元相棒に負けないパフォーマンスを見せている。

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 TLデビューの第1節三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では、開始5分でいきなり才能を輝かせた。敵陣での左展開でパスを受けると、相手防御の隙を突くように縦に仕掛けてのオフロードパスで、CTB中村亮土―SH流大の日本代表コンビがつないだトライに結び付けた。

 このプレーで判断力の高さを見せたバレットは、28分には視野の広さを披露。自陣22メートルライン内でボールを持つと同時に相手陣形を見定めて、左サイドに広いスペースがあることを察知。WTBテビタ・リーにパスを送り80メートル独走トライを演出してみせた。前半インジャリータイムには、自らインゴールに飛び込むデビュー戦トライもマークするなど、デビュー40分で圧倒的なポテンシャルを見せつけた。

 バレットのプレーから読み取れるのは、試合の展開を読む洞察力の高さだ。多くの選手が、試合の状況を読みながらプレーしているのは当たり前だが、高校時代から日本代表合宿に参加するなど国際クラスの選手とのプレー、練習を積み上げてきたサントリーのCTB梶村祐介は、第3節宗像サニックス戦後の会見でバレットについてこう語っている。

「ラグビーに対する姿勢はもちろんだが、グラウンド内ではとにかく判断が速くて、それを実行するのも速い。外側からの情報をより早く伝えることを意識している」

 周囲の状況を適切に、なおかつより多くの情報を読み取ることで、トライや自分たちがより優位に戦える状況を作り出すための選択肢を増やし、判断力を高めているのがわかる。ボールを持ったときには、すでに次のプレーが頭の中で準備されているために、動きに無駄がない。その無駄のなさが、我々見る側の目には、多くの「天才」と称された選手に共通するプレーの優雅さとなって映る。バレットの頭の中では、観察―分析―行動の3つが、他の選手よりも短い時間で決定されているのだろう。

 2節ホンダヒート、3節の宗像サニックスブルースと下位チームとの対戦が続いたため、チームもバレットも危なげない試合運びを見せてきた。その一方でバレットは、ホンダ戦では、相手防御の素早く激しいプレッシャー、積極的でハイテンポの攻撃に、持ち味を発揮できない時間帯も見せている。ホンダ防御が、バレット自身への厳しいマークと同時に、バレットからパスを受ける選手へのディフェンスもしっかりと意識していたことで、持ち味の攻撃的なラグビーがテンポを上げられない場面が見られた。

 個々のコンタクトでもサントリーと互角とみられるクボタスピアーズ、トヨタ自動車ヴェルブリッツら強豪とのリーグ戦後半戦、そして優勝をかけたプレーオフトーナメントを勝ち抜くには、バレットがサントリーの強みである攻撃的なラグビーをさらに引き出すことができるか、そしてどのような試合展開でもしっかりとチームを勝たせるゲームメークができるかがカギを握ることになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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