渋野日向子は「準備段階」を経て新境地へ 若手隆盛の女子ゴルフ20-21シーズンの展望
渋野日向子は「次のステップへの準備段階だった」、鍵はオフの中身
渋野選手は苦労しました。昨年は次のステップへの準備段階だったと思います。コロナ禍の試合がない間にいろいろとチャレンジしていましたよね。途中経過を試合で実践して、良し悪しがわかったと思います。だから、国内外のツアーで得たものをうまく整理して、オフに練習すればいい。このオフが彼女にとっても大きなものになるかもしれません。
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あれだけ活躍すると、普通の選手が不調に陥った時と比べて壁の高さ、厚みが全く違います。やはりゴルファーは現状維持では満足しない。常に進化したいからこそ、スイング改造やトレーニングをする。その良し悪しは後になってみないとわかりません。いま信じるものがあれば、それに対して突き進めばいいと思います。
常にポジティブでラウンド中も明るい選手。でも、普通は調子が悪くなればなるほど笑っていられないものです。それで笑っていると「なんで笑っているんだ」と思われますし、かといって怖い表情すると「スマイリング・シンデレラなのに」と言われるかもしれない。難しい。普通の選手だったら重荷になる。でも、彼女は自分ではねのける力があると思います。
ゴルフは個人競技。中には自分がよければいいと思ってしまう選手もいるかもしれません。でも、彼女は何よりも周りの人を凄く大事にする選手。だから、苦しい時こそ周りの人がサポートしてくれるんです。彼女はそのありがたみもよくわかっているので、苦しいところからでも上手く立て直せると思います。
彼女の目標は海外ツアーの5大メジャー制覇。まだ若いので遠回りしてもいい。今は静かに見守るしかありません。12月の全米女子オープンは4位で優勝争いができました。外野はいろいろと言いますが、彼女は全てをプラスにして吸収し、2021年は新しい渋野日向子になってトーナメントを盛り上げてくれると思います。
昨年はコロナ禍により、多くの韓国人選手が終盤からの出場となりました。今年は出場できる試合も増えると思います。強い選手がいた方が盛り上がりますし、賞金女王、シード争いにも大きな存在となるでしょう。日本人選手と刺激し合いながら成績を残していった方がツアーのレベルも上がるし、選手の気持ちも高ぶってくる。できるだけ早く日本に来て、普段のトーナメントができればいいと思います。
テレビ観戦もいいですが、ファンは試合会場に足を運んで現場の空気を楽しみたい。時期を見てからになると思いますが、今の状況が落ち着いたら本格的にギャラリーを入れて、大歓声の中でウィニングパットを決める選手を見たいですね。
■北田瑠衣/THE ANSWERスペシャリスト
1981年12月25日生まれ、福岡市出身。10歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高時代にナショナルチーム入り。2002年プロテストで一発合格し、03年にプロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年には宮里藍さんとペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)