渋野日向子は「準備段階」を経て新境地へ 若手隆盛の女子ゴルフ20-21シーズンの展望
「THE ANSWER」は各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」をスタート。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。
「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー・北田瑠衣
「THE ANSWER」は各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」をスタート。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
今回は「女子ゴルフ2021年の展望」。新型コロナウイルスの影響で6月開幕となった2020年は、若手選手が多く活躍した。21年は異例の統合シーズン。3月4日の開幕戦ダイキンオーキッドレディス(沖縄・琉球GC)まであとわずかとなった中、昨年活躍した選手の凄さ、未勝利に終わった渋野日向子(サントリー)などについて語ってもらった。
◇ ◇ ◇
2020年の国内ツアーで活躍した選手の顔ぶれをみると、やはり若いですよね。昨年は特に活躍していたと思います。そこで一つ思うのが、無観客でプレッシャーのかかり具合が違ったのかなというところです。声援、見られているプレッシャーがありません。今年はいつから本格的に有観客となるかわかりませんが、昨年とは選手の心理も違ってきます。
声援を力に変えることはプロとして大事なポイントですが、調子がいい時はそれができるんです。少し調子が悪くなった時、優勝争いの時、ギャラリーに見られている中でどんなゴルフをできるかが大切になります。プレッシャーと受け取るのか、応援を力に変えられるのか。例年通りプロアマが行われ、ギャラリーを入れるようになった時、昨年活躍した若手選手にどういう心境の変化があるのか楽しみですね。
昨年は開幕2戦目から19歳の笹生優花選手(ICTSI)が2連勝しました。魅力はやはり飛距離です。飛んで曲がらない。あのパワーは男子寄りですね。そして、パットのライン読みが凄く上手。ラインの作り方、転がすスピ―ドが凄い。おそらく彼女は自分で読んでいて、キャディーにアドバイスをもらうのは迷った時くらい。ジュニア時代に海外のいろいろな場所でプレーした影響が大きいと思います。日本の綺麗に整備されたゴルフ場が少し簡単なのかもしれません。
20歳の古江彩佳選手(フリー)も3勝しました。ニュースでコメントを見ましたが、不得意なクラブがないそうですね。どのクラブでも不安はない、と。その発言が強さです。10月のスタンレーレディスでラウンドレポーターをした時、21歳の稲見萌寧選手(都築電気)がプレーオフの末に優勝。スピーチで「ショットはセカンドも、サードも、朝から全て入れる気でいました」と話していました。気持ちが強い。今の選手は言葉に出して、自分を奮い立たせることが上手ですね。
メジャーで2勝した原英莉花選手(日本通運)を含め、今年はこの辺りの選手たちが中心になってくると思いますが、30代の選手も活躍が楽しみです。私は子どもが2人いるので、出産から復帰した若林舞衣子選手(ヨネックス)にも注目しています。ママになって飛距離が伸びた。妊娠している期間中に自分のゴルフを見つめ直す時間ができたそうですね。
もちろん、家族のサポートがないと復帰できない。環境に恵まれているからこそ、彼女は試合に出るからには優勝するという気持ちでトレーニングやスイング改造をしているそうです。育児をしないといけない中、女子プロゴルファーとして成績も残さないといけないのは凄く大変。若林選手は優勝目前まで来ているので、どんなママになるのか活躍が楽しみです。