世界的司令塔バレットは前評判通りに輝けるのか 早くも示したトップリーグへの順応
ラグビー界最高峰の指令塔と言われ、今季から日本のサントリーサンゴリアスでプレーするニュージーランド(NZ)代表SOボーデン・バレットの日本デビューが近づいている。16日のトヨタ自動車との開幕戦(愛知・豊田スタジアム)まで10日と迫った6日に都内で行った会見には、注目度の高さを物語る70人の報道陣が集まった。
ラグビーを追い続ける吉田宏記者のコラム、早くもバレットの活躍に太鼓判を押す理由
ラグビー界最高峰の指令塔と言われ、今季から日本のサントリーサンゴリアスでプレーするニュージーランド(NZ)代表SOボーデン・バレットの日本デビューが近づいている。16日のトヨタ自動車との開幕戦(愛知・豊田スタジアム)まで10日と迫った6日に都内で行った会見には、注目度の高さを物語る70人の報道陣が集まった。
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昨年12月に来日して、すでに年末年始に練習試合2試合を消化。持ち味の攻撃的なラン、視野の広さを生かしたゲームメークで、サントリーがかかげるアタッキングラグビーとはベストマッチの期待感が高まる世界最強の指令塔。練習マッチでのパフォーマンスと会見でのコメントからは、開幕戦からの大暴れに期待が高まる。
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会見場を埋めた報道陣を見渡しながら、至高の指令塔が日本での活躍を誓った。
「コンニチワ、エブリワン。まず日本に来られて非常に嬉しいですし、家族を含めて快適に過ごせています。サンゴリアスという素晴らしいチームの一員になれて非常に光栄です。サンゴリアスのアグレッシブ・アタッキングラグビーが、非常に自分に合っていると思うので楽しみです」
ラグビーファンなら誰もが知る、世界最高の攻撃的なラグビーを見せるのがオールブラックス。パワーだけに依存せず、ボールを持てば、早いテンポと、攻撃的なパス、個々のステップとスピードを駆使して、敵防御を切り裂くラグビーが信条だ。オールブラックスという愛称の語源が、全員がバックス選手のように走る=オールバックスだという逸話がプレースタイルを物語る。その世界最強軍がみせる華麗なアタックのタクトを振り続け、2度の世界最優秀選手賞を獲得してきた男が、今度はサントリーのアタックを加速させる。
初めてサントリーのジャージーに袖を通したデビュー戦で、早くも真価を見せた。昨年12月26日に行われた東芝との練習試合。23番のジャージーで後半16分にピッチに立ったバレットに、異なるラグビー文化を持つ新たなチームでの初陣という違和感も気負いもなかった。
前へと走りながらボールを受けるために、バレットからのパスを受けるBKのラインスピードが落ちない。そして、繰り出されるパスはコンパクトなフォームと、ショートパス、ロングパスともにフォームが変わらないために、相手防御が的を絞るのにコンマ数秒の遅れが生じている。
多くの海外出身選手が、来日して最初に戸惑うのが日本のラグビーのテンポの速さだ。世界のラグビー強国では、スローダウンしたFW戦で揉みあいながら、相手防御が薄くなったチャンスを見計らいBKがボールを展開するのが基本的な戦い方。プレーのテンポも、緩急を織り交ぜながら勝負所で加速するのがセオリーだが、日本のラグビーは80分間アップテンポでプレーが続けられる。とりわけサントリーは、より速いテンポで攻撃をしながら、ボールを大きく動かすのが伝統のスタイル。パワーが上の相手も、スピードで上回り、走り勝つのが生命線だ。