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熱狂のラグビーW杯から1年 日本代表躍進の立役者が語る“スポーツ分析の未来”

戸田氏が代表を離れトップチャレンジリーグを選んだワケ

 絶え間なく、そして加速度的に広まるテクノロジーを、どう勝利に結びつけることが出来るかが、スポーツ界での成長分野になるのは明らか。そのような時代に突入する中で、アナリストが果たす役割も、加速度的に重要さを増幅させることになるはずだ。コーチのサポート要員のような位置づけから、いまや強化に欠かせない重要なポストに成長している。

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 日本代表のW杯ベスト8進出を花道に代表チームを離れた戸田氏は、敢えてトップチャレンジリーグに所属する九州電力のアナリストに就任。ドコモ時代に暮らしていた大阪から、家族4人で故郷の福岡に戻ってきた。

「W杯が終わって、自分がどういう形で、何をするかを考える時間がありました。いくつか選択肢がある中で、これまで育ってきた、そしてラグビーに出会わせてくれた地元の福岡で、これまでの知識や経験を少しずつ返していきたいという思いがすごく強くなりました。もちろん代表やTLのような第一線で活躍する魅力もありましたが、新しいチャレンジのほうに強く魅力を感じていたところで、地元のチームに携われる機会を持たせてもらいました」

 2022年1月の開幕を目指す国内新リーグ参入も視野に強化を進める九州電力だが、コロナ禍の中でチームが実戦から遠ざかる中で、戸田氏が世界の最前線での経験値をどのように生かすことが出来るのかを聞いてみた。

「アナリストはデータ情報を扱いながら、最終的に大事なのは選手やコーチの行動変容をどう起こせるかだと思います。そのために、情報を出すのが今なのか、次の日なのか、朝なのか夜なのか。情報量として適切なのか、もう少しディテールが必要なのか、シンプルに伝えた方がこのチーム、選手は上手くいくのかを考えて、組み立てるようになれたと思います。このように考えることが出来るようになれたのは、代表での経験が大きいと思っていますね」

 インタビューの中で、何度も「分析には答えがない」とも語っていた戸田氏だが、答えがない中で、どれだけチームに適切な情報を提示できるかに常に挑んでいるのがアナリストだと理解できた。答えがないことが難しさである一方で、膨大な情報の中で、いかに価値のあるデータを見出し、抽出できるかを楽しんでいるようにもみえた。

 際限のないテクノロジーの進化が、スポーツ分析というフィールドを、これからもさらに押し広げていくことは間違いない。そのテクノロジーを勝利に結びつける重責を担うのがアナリストだ。高度なテクノロジーを駆使した、新たな大航海時代を迎えるスポーツという海原で、アナリストは勝利という目的地へチームを導くために不可欠な羅針盤となるはずだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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