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元日本代表MFが挑む「腸内細菌」の研究 五輪予選の惨状を回避、守り続けた“母の教え”

現役生活を通じて「腸の大切さ」を実感

 しかし日頃からの注意や習慣づけで、こうした強烈な下痢を回避する術はあるのか。もし鈴木がそのヒントを持っているなら聞いてみたいというのも、実はインタビューの目的の一つだった。

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「幼少時から調理師の母に『人間は腸が一番大事だから、必ず便を見なさい』と言われて育ちました。でも最初は、母はいったい何を言っているんだろう……という感じでした。子供の頃は、冷たいものをたくさん飲んで腹が緩くなることもありました。ただそんな時は、やはりパフォーマンスが良くないので、徐々に気を付けるようになったんです。母が勧める腸内細菌関連サプリメントを携行し、食後には緑茶を飲み、遠征には必ず梅干しを持参しました」

 一方でトレーナーに体を診てもらいながら「お腹と筋肉は密接に関係しているのでは」と感じるようになったという。

「僕の場合、冷たいものを飲み過ぎたり、体に負荷がかかり過ぎたりすると、寝る時に体が捻じれてくるんです。それをトレーナーが灸やマッサージで治してくれる。そのおかげなのか、現役生活を通して筋肉系の故障が本当に少なかった。明らかに灸などでお腹を温めると体の調子も良くなりました」

 こうしたプロセスを経て、改めて鈴木は母に言われた「腸の大切さ」を実感するのだった。(文中敬称略)

[プロフィール]
鈴木啓太(すずき・けいた)

1981年7月8日生まれ、静岡県出身。東海大翔洋高校を卒業後、2000年に浦和レッズに加入。攻守を支えるボランチとしてレギュラーの座をつかむと06年のJリーグ優勝、07年AFCチャンピオンズリーグ制覇などのタイトル獲得に貢献した。15年の現役引退まで浦和一筋を貫き、J1通算379試合10得点を記録。日本代表としても28試合に出場した。現在は自ら設立したAuB株式会社の代表取締役を務め、腸内細菌の研究などを進めている。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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