佐藤琢磨はなぜ勝てたのか 仲間でラーメンをすすった日、チームは1つになった
グリコポーズの背景に、ファンとの3年越しの約束
そして、今回の優勝では3年越しの約束も果たしていた。優勝直後の記念撮影で、車の上に仁王立ちした佐藤は見事な「グリコポーズ」を披露した。実はこれには、3年越しのストーリーがあった。2017年にインディ500を初優勝した時、サポート企業である江崎グリコ社が、佐藤が両手を大きく突き上げて喜ぶ写真を大阪道頓堀の巨大看板に流した。このポーズが同社のトレードマークであるグリコポーズに似ているとファンの間で話題になり、ファンからSNSを通して「片足を上げていれば完璧なグリコポーズだった」などと指摘を受けた。それに対し、佐藤もツイッターで「今度やってみる」と返すやりとりがあった。
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「そのときに多くのファンの方から次はパーフェクトなグリコポーズをお願いしますって言われていた。僕も冗談半分で今度機会があったらやるっていう風に言っていたことを思い出した。それで車の上に立ち上がったときに、もしかしたら片足あげられるかもって思ってちょっとやってみた(笑)そんな半分冗談みたいな約束が、この大舞台で発揮できるとは思いもよらなかったけどうれしかった。あれがやりたいがために勝ったといってもいいくらい。それでファンの皆さんがちょっとでも喜んでくれたらうれしい。長い人になるとF3の事から20年近く応援してくださっているロイヤルなファンもいる。そんなみんなのためにもがんばりたいと思っていつもレースをしている」。普段からSNSやファンクラブを通してファンとの交流を大事にする佐藤らしいエピソードだ。
そして、この夢のような? 巡り合わせを実現させた影の立役者となったのが、今季から新たにコックピット上部に装備された防護用エアロスクリーンだった。「今までのマシンだったらコックピットがオープンに開いているので、その場に立ち上がると大の字になる。その状態で片足を上げるのは不可能。エアロスクリーンがついたことで、フレームが上につながっているから真ん中に立てる」と見事なポージング実現の裏話を明かしてくれた。