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福岡堅樹の離脱を嘆く時間はない 東京五輪まで1年、セブンズ代表が抱える課題とは

来年に延期された東京五輪で7人制ラグビー日本代表のフィニッシャーとして期待された福岡堅樹(パナソニック)が代表チーム離脱を発表した。ウェブ会見を開いて、当初から表明していた大学医学部受験への挑戦を予定通り進めるための決断だったと説明した。

福岡堅樹【写真:Getty Images】
福岡堅樹【写真:Getty Images】

“福岡ロス”で7人制日本代表はどうなる?

 来年に延期された東京五輪で7人制ラグビー日本代表のフィニッシャーとして期待された福岡堅樹(パナソニック)が代表チーム離脱を発表した。ウェブ会見を開いて、当初から表明していた大学医学部受験への挑戦を予定通り進めるための決断だったと説明した。

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 新型コロナウイルスが引き起こした予想外の福岡離脱は、五輪でのメダル獲得を目標に掲げる7人制日本代表にとっては戦力ダウンを免れない。福岡の早すぎる代表引退の経緯と共に、開幕まで1年近くに迫る東京五輪へ向けて“福岡ロス”に揺れる7人制日本代表の現状、そして課題を検証する。

 ◇ ◇ ◇

 東京五輪挑戦を表明した当初から大会後の代表引退と医道への挑戦を明らかにしていた福岡だが、人生設計は“延期なし”を貫いた。選手としてのピークの時期に、母国での五輪で金メダルに挑むというチャンスは誰にでも与えられるものではない。それでも日本のトライゲッターの胸中に迷いはなかった。

「今回このような結論に至った理由といたしまして、自分の中で本当に後悔をしたくない、後悔をしない人生を生きたいという思いが強かった。いままで大きな決断をした時には必ず、どの選択がいちばん後悔しないだろうかと考えていました。今回の選択に関しても、やはりそれが一番大きく自分の中で影響していて、この選択が自分にとっていちばんすっきりと受け入れることが出来る選択でした」

 14日の会見冒頭で、こう決断の理由を説明した福岡。これまで表明してきた通り、2020年で7人制代表を引退して、来季のトップリーグでパナソニックのメンバーとしてプレーした後は医学部受験への準備に本格的に着手するという。福岡高時代から医学部を志願。一浪後に筑波大でラグビーに打ち込むことを決めた後も、将来の医学部挑戦を語っていた。

 しかし、医者への挑戦を後回しにして10年後にはできないアスリートとしての活動を優先すべきだと考えるファンも少なくないだろう。会見で、代表をいま引退しなければいけない理由があるのかという質問をぶつけると、福岡はこう語ってくれた。

「時期的なタイミングに関しては、はっきりとここじゃないといけないという明確な理由はないです。ただ、この引退のタイミングというものを宣言してきて、それを変えたくないという自分の中の思いがあり、また一度そのタイミングをズラしてしまうと、また何かやりたいことがでてきた時に、タイミングを失ってしまう可能性も考えられるので、自分の中では、自分の決めたものを貫きたいという思いが一番強かった」

 インタビューや日常会話でも、常に冷静沈着、感情を乱すことなく、15人制代表でも1、2を争う飾らないのが福岡のキャラクターだ。だが、自らの人生設計には1ミリたりともブレることのない頑固さを貫いた。

 新型コロナ問題が浮上して東京五輪の開催問題が浮上していた時点で、代表引退の時期を考え始め、延期が決定した時点では思いは固まっていたという。会見では15人制代表についても「2019年ワールドカップのタイミングで、自分としては(15人制)日本代表のほうは引退を伝えたので、基本的にはその通りにすると思う」と語り、再挑戦がないことを明かした。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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