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【#キミとONETEAM】 「高校3年生は動いたもん勝ち。固定観念ぶっ飛ばして」―慶大ラグビー部監督・栗原徹

「10年、20年先に今があったから大きく成長できたと必ず思える」

 いま何ができるのかという話の時は、みんな非常にポジティブに頭を切り替えて活動してくれています。一番、私が懸念しているのは1年生。入学してまだ学校にも行ったことがない、ラグビー場に立ったこともない子たちもいます。早めにチームに参加した選手は何人かいますが、基本的に慶應は4月スタート。まだ1年生同士でも顔がわからない子もいます。

 今のコロナの状況は大学生だけでなく、私たち大人も初めて経験するものです。何が正解なのか、なかなか判断できない。特に大学生は4年という期限が決まっているので、「なんでこのタイミングで」「なんで自分たちだけ」とすごく不運に感じてしまうと思います。実際にそういう側面もありますが、人生のどのタイミングで起きてもすごく大変なこと。だからこそ、限られた4年間しかないこのタイミングで起きてしまったことも何かの運命です。

 10年、20年も先にあのことがあったから自分たちは大きく成長できたと必ず思えると思います。なぜかというと、誰も経験したことがない困難を乗り越えていくわけだから。目の前の困難だけを見ると非常に息苦しくなりますが、それを乗り越えた先に必ず私たち大人も見えていない景色を見ることができると思います。苦しい練習の後に日本一をとってすべてが報われることと一緒です。こういう困難が目の前に来たことを意気に感じ、どんどん新しい発想でチャレンジしてほしいと思っています。

 高校3年生の選手には慶應を受けてもらいたい気持ちもありますが、こちらはなかなか情報を得られません。こちらから発信したり、訪問したりもできない状況です。活躍の場がなくて大学の推薦にかからない、アピールの場がなくてすごく困っている人もいると思いますが、こちらの立場も学生をスカウトできる場がない状況です。同じように困っているので、SNSなどで自ら情報発信をどんどんしてもらいたいです。

 自分のプレー集を作ってアップするなり、大学に送るなり。自分が行きたい大学に対し、「行きたい」「こんなプレーヤーです」「どうやったら行けますか」など発信できると思います。高校生も、こちらもそれぞれアクションを起こせる幅が狭くなってしまっているので、これは逆にチャンスです。積極的に動いたもん勝ち。今までの固定観念をぶっ飛ばして、自分が行きたいところ、したいことに対してアプローチをどんどんかけてもらいたいです。

 慶應の場合は私が合格を与えられるわけではないですが、それに対するサポートはできる。直訴していただけるとすごく助かります。どうしたらいいかわからないのなら、自分が将来やりたいこと、行きたい大学をしっかり考えて、積極的に自分からアプローチをかけてもらいたいです。そうすればこちらはどんな状況でも対応できます。ぜひ自分の意志を発信する、自分の思っていることを出す作業を積極的にやってもらいたいと思います。

 ラグビーができない日々をこれだけ長く過ごしたことで、「今まで当たり前に思っていたことが当たり前ではない」「感謝」という言葉が多くの部員から出ています。ラグビーができるようになった時、多くの方のサポートの上でプレーをさせてもらえるということを、みんなが実感しています。そういう方々に向けて感謝の気持ちを表せるよう、一生懸命プレーして、感謝を表していきたいですね。

【#きょうのトライ「あいさつとそうじをしましょう」】

 あいさつとそうじをしてほしいです。「おはよう」とか、ごはんを作ってもらったら「ありがとう」とか。みんな家にいると思うので、はずかしがらずに少しでも思ったことを言葉にして、両親、兄弟のみんなに伝えてほしいです。あいさつも、そうじも自分が気持ちよくなるためのもの。してもらって気持ちいいことを自分がすると、自分も気持ちよくなります。

 あいさつで周りの人が気持ちのいい笑顔になった時、自分もすがすがしさを感じることができます。何かをしてもらうだけではなく、周りの人に何かをしてあげられるような人になってほしい。その中で一番簡単なのはあいさつです。W杯でもいろんな国の選手が試合後におじぎをしてくれました。とても小さなことですが、国をまたいで世界中が感動しました。そういうことを自然とできるような子どもたちになってほしいです。

 そうじは、自分の心を整える作業になります。何がどこにあるとわかっていたり、きれいに整った部屋を見たりすると、これからやるべきことも頭の中で整理できます。そうじをして心を身軽な状態にして過ごしてもらいたいです。

■栗原 徹(くりはら・とおる)

 1978年8月12日生まれ、茨城県出身。清真学園中でラグビーを始め、清真学園高3年時に花園出場。慶大3年時に日本一を経験し、卒業後はサントリー、NTTコムでプレー。引退後はコーチとして活動し、創部120周年の昨年度に母校のヘッドコーチに就任した。日本代表通算27キャップ。ポジションはウイング、フルバック。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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