なぜ強いワセダが復活したのか “40日前の大敗”で植え付けられた勝つための道
キーワードは「勝ちポジ」…胸を張る齋藤主将「40日前より成長できた」
実際、敵将の田中澄憲監督も試合後の記者会見で「ディフェンスが狭くなってしまっていた。ひとりずつ差し込まれたのが原因」と、前半、早大にやられたい放題になってしまった主たる要因として、40日前とは比べものにならないほど前に出る圧力を増していた早大のアタック力に怯えるかたちで、本来のディフェンスラインが保てなかったことを挙げた。
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「後半は修正できた」と田中監督は付け加えたが、現実的には時すでに遅し。26分にCTB長田智希、32分にHO森島大智、39分にFL相良昌彦と前半だけで4トライを挙げた早大は、31-0という誰も予想できていなかっただろう大差でハーフタイムを迎えることになった。
当然だが、ゲインラインをめぐる攻防で早大の強さが発揮されたのはアタック面だけではない。
「ディフェンスの部分で40日前より成長できた。1対1のタックル。早明戦ではそこでゲインされてスコアされていた」(SH齋藤主将)
特に、意識的に取り組んできたのが「勝ちポジ」と呼ばれるタックルに入る前の姿勢。
「早明戦以降、最初から最後までその部分を意識して練習をしてきた。今日は80分間、いや40分間はできた」(同主将)
「勝ちポジ」の意識で統一された早大ディフェンスは明大の「前へ」を完全に潰し切ったからこそ、31-0というスコアで前半、明大を零封できたことは間違いないだろう。
「FWに関しては(明大の)箸本(龍雅=LO)くんとか武井(日向=HO)くんとかが来るところに対して、絶対に引かない、前に出てタックルをし続けた。想像を超えてやってくれた。前回の早明戦はそこでやられていた。ちゃんと戦ってくれた」
この40日間、「勝ちポジ」づくりに一緒に取り組んできた権丈元主将はそう選手たちを絶賛。一方、「(いまのチームに対して)僕がやったのは、OBからお金を集めたくらい」と、現役選手としては当たり前だが外側からチームを見ることに徹した佐々木元主将も「ディフェンスでもラインスピードあって、いいプレッシャーをかけていた。ワードをつくって、自分たちに必要なプレーにきちんととフォーカスして、精度も上がっていた」と、正しいアプローチを踏んだ上での進化があったことを推測していた。