[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

子どもの学習能力までUPさせる運動塾 20年で100種類、元プロボクサーが心血を注ぐ独自指導法

ボクシングの元世界王者が、子どもの運動能力向上に一役買っている。2004年に「飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ」を設立した、元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏。現在は解説業の一方、東京・中野区に自身のジムを持つ。視覚能力を高めて運動能力を向上させる「ビジョントレーニング」が売りの一つだ。現役時代の方法に加え、体や脳の動きを融合させた独自プログラムで子どもたちを指導。前編は競技の枠に収まらない効果を語ってくれた。(文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

自身の運動塾で子どもを指導する飯田覚士氏(中央左)【写真:山野邊佳穂】
自身の運動塾で子どもを指導する飯田覚士氏(中央左)【写真:山野邊佳穂】

元プロボクサー・飯田覚士氏が教える子どもの運動能力向上プログラム・前編

 ボクシングの元世界王者が、子どもの運動能力向上に一役買っている。2004年に「飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ」を設立した、元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏。現在は解説業の一方、東京・中野区に自身のジムを持つ。視覚能力を高めて運動能力を向上させる「ビジョントレーニング」が売りの一つだ。現役時代の方法に加え、体や脳の動きを融合させた独自プログラムで子どもたちを指導。前編は競技の枠に収まらない効果を語ってくれた。(文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 ◇ ◇ ◇

 子どもたちの大きな声が教室に響き渡った。平日の午後5時。「気を付け。よろしくお願いします」。児童の号令でスタートした。数字暗記クイズ、リズム体操、エアーボクシングなど頭と体を使った6種目を1時間。小学生11人がゲーム形式で楽しんだ一方、うまくいかず悔し涙を流す子も。それだけ熱中していた。指導した飯田氏は言う。

「ここは『何かのスポーツに役に立つ』ではなく、土台作りです。体の使い方、コントロールの仕方をまず覚える。それが目と体なので。4、5年生から他のスポーツを始めてもやれるような土台を作れるプログラムだと思います」

 コースは5人前後の年少~年長のキッズの部、10人前後の小学1~6年のジュニアの部、小学生3人以下の少人数レッスン、マンツーマンの個別レッスンも含めて4種類。「ボックスファイ」が生まれるきっかけは、1997年に世界王者に輝いた飯田氏の現役時代に遡る。海外のジムを訪れた時のことだった。

 学校帰りの子どもが寄り道をするように遊んで帰っていく。大人が必死で汗を流す日本とは大違い。「日本にもあったらいいな」。当時は自ら開設するとは思っていなかった。理想が現実味を帯びたのは、怪我をする子どもが目に付いたこと。99年に引退後、セカンドキャリアの活動の一環で近所の子どもへのビジョントレーニングを始めた。

 指導内容は自身の幼少期や、子育ての中で知った遊びを参考にした。第一は子どもたちが楽しむこと。その中で目や体、脳を使う要素を組み込んだ。中身は全てオリジナル。考案、実践、改良を繰り返す中で失敗は山ほどあった。効率の良いものを残し、今では100種類ものプログラムがある。

「ハイ&ロー」でタイムを測定する子どもたち、トランプを集めて左のかごに入れなければならない【写真:山野邊佳穂】
「ハイ&ロー」でタイムを測定する子どもたち、トランプを集めて左のかごに入れなければならない【写真:山野邊佳穂】

 この日、最も白熱したのは「ハイ&ロー」と呼ばれるタイム測定だ。床には二等辺三角形の3つの角に印をマーク。合図が出たら、底角に座る児童2人がトランプを出す。測定者となる3人目の児童は大きな数字から順番に拾い、二等辺三角形の頂点にあるかごに入れる。複数回の合計タイムの短さを競った。

 改良を繰り返したのは3辺の長さ。1.5メートルの底辺は首を動かさず、周辺視野で数字を見られる距離にした。残り2辺を2メートルにしたのは、かごに入れるまでに一度は体を起こす必要があるから。5年間かけて現在の形になり、絶妙な距離設定が高い効果を発揮。どのプログラムも、キッズクラス開設から20年の研鑽が詰まっている。

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集