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鎌田大地の“エリートではない”強さ 元スカウトが証言、豊かな人間性を育んだ父の教え

サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)で、日本代表は強豪のドイツとスペインから大金星を挙げ、“死の組”と呼ばれたグループリーグを突破し世界を驚かせた。史上初のベスト8進出こそ逃したものの、Jリーグ発足から30年、日本サッカーの着実な成長を導いた根底にあるのが育成年代の充実だろう。その筆頭と呼べるガンバ大阪の下部組織で、スカウトとして多くの才能を発掘し、アカデミー本部長も務めた二宮博氏を、ドイツで20年以上にわたって育成年代の選手を指導する中野吉之伴氏が取材。G大阪ジュニアユース出身の鎌田大地は、様々な挫折を経験しながらプロサッカー選手となり、日本代表の一員としてカタールW杯のピッチに立ったが、その成長の陰には父の教えがあった。(取材・文=中野 吉之伴)

日本のMF鎌田大地【写真:Getty Images】
日本のMF鎌田大地【写真:Getty Images】

G大阪元スカウト・二宮博氏インタビュー第2回

 サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)で、日本代表は強豪のドイツとスペインから大金星を挙げ、“死の組”と呼ばれたグループリーグを突破し世界を驚かせた。史上初のベスト8進出こそ逃したものの、Jリーグ発足から30年、日本サッカーの着実な成長を導いた根底にあるのが育成年代の充実だろう。その筆頭と呼べるガンバ大阪の下部組織で、スカウトとして多くの才能を発掘し、アカデミー本部長も務めた二宮博氏を、ドイツで20年以上にわたって育成年代の選手を指導する中野吉之伴氏が取材。G大阪ジュニアユース出身の鎌田大地は、様々な挫折を経験しながらプロサッカー選手となり、日本代表の一員としてカタールW杯のピッチに立ったが、その成長の陰には父の教えがあった。(取材・文=中野 吉之伴)

 ◇ ◇ ◇

 カタールW杯で日本代表の中軸として、ベスト16進出に貢献する活躍を見せた鎌田大地。ピッチ上での躍動感あるプレーとは打ってかわって、普段の鎌田は物静かで大人しい雰囲気がある。口数も少なそうだ。でも試合後のミックスゾーンでは、記者の質問にいつでも丁寧に答えてくれる。自分からインタビューを切り上げようともせず、こちらが「大丈夫です。ありがとうございます」というところまで、どんな質問にも付き合ってくれる。

 そんな鎌田は子供の頃、どんな性格の選手だったのだろう。ガンバ大阪ジュニアユース時代をよく知る二宮博に話を聞いた。

 二宮はG大阪で育成アカデミー本部長を務めた人物で、宇佐美貴史、昌子源、堂安律、鎌田といった数々の逸材を見出したスカウトでもあった。

「(鎌田は)ちょっと大人しい性格で、自分からグイグイいくタイプではなかったですね。でも誰からも好かれる子で、仲間にいじられるというかね、そういうキャラクターはありました。口数はそんな多くないですけれども、自分の中に芯の強さというのはありましたね。常に冷静で意志が強いという印象です」

 鎌田はジュニアユース時代の3年間をG大阪で過ごしている。ポテンシャルを評価されながらも、怪我の影響などもあり、ユース昇格は果たせず。その後、京都の東山高校へ進学し、高校3年生ではキャプテンにもなった。環境が変わり、自分の立ち位置が変わるなかで、少しずつ人間性も成熟していったようだ。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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