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ガーナ人の父を持つ日本人 境遇に悩まないボクサー岡澤セオンの「何に目を向けるか」という生き方

インタビューに応じた岡澤、自身と似た境遇で悩む子どもたちへ「良いことも絶対あるでしょ!」と投げかけた【写真:浜田洋平】
インタビューに応じた岡澤、自身と似た境遇で悩む子どもたちへ「良いことも絶対あるでしょ!」と投げかけた【写真:浜田洋平】

同じ境遇で悩む子へ「良いことも絶対あるでしょ!それが好きだって言う人もいる」

――今の時代は何事も受け入れる風潮が広まり、そういう人が増えてきました。ですが、まだ子どもたちには岡澤選手と同じような境遇で悩む子もいると思います。何か掛けてあげられる言葉はありますか。

「良いことも絶対あるでしょ!って言ってあげたいですね。『黒人で悪いこともある。でも、良いことも絶対あるでしょ? 君も感じてるでしょ?』って。絶対にその子にも何かがあると思います。

 背が小さい人だって、良いことと悪いことがありますよね。特徴があるということは、その分それで勝てる部分もあれば、負ける部分もある。良い方に目を向けてほしいですね。絶対にあるんですから。僕は絶対に人より目立ちますし。

 自分がどこに目を向けるかだけでしょ!って思うんですよ。嫌なこともあるけど、嫌なことがない人はいない。誰しも良いところもあれば、悪いところもある。それをどちらも受け入れないといけないし、良いところにスポットライトを当てていく。50対50じゃなくて、良いところをデカくしていけるようにしてほしいですね。

『誰からも文句を言われるようなことじゃないんだよ』とは思わないです。文句を言う人もいます。例えば僕だって臭い人が横にいたら嫌だし。でも、その臭い人には何かメリットが絶対あると思うんですよ。目立つことはゼロ(無意味)じゃないと思うから。自分がそれをどう捉えるかだし、どこにスポットライトを当てるかだと思います。

 何も言われなくなることは絶対にないと思う。誰かが何かを言うし、それが嫌だとか、訳のわからないイチャモンをつけてくる人もいますけど、それが好きだって言う人も絶対にいる。『最高! もっとこっち来いよ』と積極的に言ってくれる世界もあるから。絶対に自分が輝くところを見つけて、それを活かせる生き方をしてほしいなと思います」

(19日の第4回「『いつもボッコボコにされて始まる人生』 非エリートのアマボクサー原田周大が日本一になるまで」に続く)

■岡澤セオン/Sewon Okazawa

 1995年12月21日生まれ。山形・山形市出身。ガーナ人の父と日本人の母との間に生まれ、本名は岡澤セオンレッツクインシーメンサ。小、中学生時代はレスリングに打ち込み、日大山形高からアマチュアボクシングを始めた。3年時にライト級で全国高校総体5位入賞。中大1年時にライトウェルター級で国体3位、4年時に準優勝。就職先が内定していたが、鹿児島体育協会から国体に向けた強化指導員兼選手の誘いを受け、競技を続行。19年アジア選手権ウェルター級で日本人36年ぶり銀メダル。東京五輪ウェルター級(67キロ以下)2回戦敗退。21年世界選手権で日本人初の金メダル。24年パリ五輪は71キロ級代表内定。

〇…全日本選手権が21日から6日間、東京・墨田区総合体育館で行われる。24年パリ五輪の世界予選トーナメント日本代表最終選考会を兼ねた大会。岡澤は出場しないが、すでに同代表に内定した男子フェザー級・原田周大とともに中継のゲスト解説を務める。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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