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「勉強しなさい」だけでは逆効果? ドイツ育成年代で重視、子供の成長促す“3つの柱”

ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを持ち、20年以上にわたって現地で育成年代の選手を指導してきた中野吉之伴氏が、「THE ANSWER」に寄稿する不定期連載「サッカーと子育て論」。ドイツで子供たちを日々指導するからこそ見える、日本のスポーツ文化や育成年代の環境、子育てに対する考え方の違いなどについて迫る。今回は、サッカーと学校生活とのバランスについて。子供たちにとって勉強が大事であることは言うまでもないが、ドイツの育成指導者はそれぞれの個性を尊重しながら、バランスの取れたアプローチこそが成長を促すとの助言を行っているという。

勉強を含めた学校生活の状況がプレーに与える影響は大きいという【写真:Getty Images】
勉強を含めた学校生活の状況がプレーに与える影響は大きいという【写真:Getty Images】

連載「ドイツ在住日本人コーチのサッカーと子育て論」、学業への向き合い方

 ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを持ち、20年以上にわたって現地で育成年代の選手を指導してきた中野吉之伴氏が、「THE ANSWER」に寄稿する不定期連載「サッカーと子育て論」。ドイツで子供たちを日々指導するからこそ見える、日本のスポーツ文化や育成年代の環境、子育てに対する考え方の違いなどについて迫る。今回は、サッカーと学校生活とのバランスについて。子供たちにとって勉強が大事であることは言うまでもないが、ドイツの育成指導者はそれぞれの個性を尊重しながら、バランスの取れたアプローチこそが成長を促すとの助言を行っているという。

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 サッカーが好きでたまらなくて、サッカークラブの練習に毎回熱心に参加する子供たち。日常の様々なストレスから解放されて、ピッチ上で夢中になってボールを追いかける姿は素敵だ。

 ただ、サッカーを好きな子がサッカーをするというのは彼らの持つ大事な権利であるとはいえ、それだけになってしまって学校の勉強が疎かになってしまったらどうだろうか。

 クラブ、両親、本人が現状を正しく把握して、優先順位を理解し、把握することが大切だろう。例えば、学校や親から連絡があり、「宿題をしない」「成績が下がっている」という事態になったら、その時はやはり学校を優先させることが望ましいはず。一時的に練習参加の頻度を減らしたり、時にはしばらく休んでもらって、学校の勉強にキチンと向き合う時間を持てるようにすることは、「子供たちにとって今一番必要なこと」なのだから。

 だが、もしそうして練習を休んでいる間に、自分のチームにおける立ち位置が大きく変わったり、なくなってしまったら? そんな不安はどうしても出てきてしまう。

 ブンデスリーガクラブの1.FCケルンでU14までの元統括部長クラウス・パプストは、こう話していた。

「気をつけなきゃいけないのは“罰ではない”のを分かってもらうということだ。『学校の成績が悪いから練習しちゃダメ』ではないんだ。それは良くない。自分の人生を大事にするために、必要不可欠な学校での取り組みにも真剣に取り組もうということだ。『今、学校の成績が下がってきているから、一度時間を取って修正をして、また通常稼働できるように頑張ろう』というふうに一緒に考えられることが必要ではないだろうか。

 大事なのは、復帰したら以前と同じように練習して、試合に出られる環境を日頃から作っておくことだ。そうしないと、いくら勉強が大事だからといっても、そちらに集中することができない」

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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