NBAやゴルフ選手も実践 脳のパフォーマンス向上、日中の仮眠「パワーナップ」とは
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第5回は、トップアスリートもパフォーマンス向上のために実践している日中の仮眠、“パワーナップ”について紹介する。(取材・文=加部 究)
連載「スポーツと睡眠」第5回、理想の睡眠を導く日中の仮眠と瞑想
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第5回は、トップアスリートもパフォーマンス向上のために実践している日中の仮眠、“パワーナップ”について紹介する。(取材・文=加部 究)
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アスリートスリープコーチの矢野達人は、睡眠が果たす役割をこう説明する。
「1日のうちに蓄積してきた様々な情報を整理し、不要なものを捨てて必要なものを定着させていく。睡眠とは、そういう時間です。例えば不要な情報を除去していく処理能力が100だとして、処理するべき情報量が120あれば、処理し切れなかったマイナス20が疲労として翌日に持ち越されるわけです」
矢野は企業睡眠セミナーなどでは、日中から実践可能なリカバリー方法を推奨している。また、これは矢野と業務提携をしている世界最高のスリープコーチ、ニック・リトルへイルズもNBAやゴルフの選手たちに指導しているそうだ。
「環境が整っているなら、まずパワーナップを勧めます。12時から15時の間に取る仮眠のことで、少し前にカフェインを摂取し体の角度、頭の置き方などに注意を払い計画的に行います」
しかし、なかなか日本には、静かで光を遮断できる仮眠に適した場所が確保されている職場は少ない。
「もしパワーナップに適した場所がなければ、90分間に1度、2分間の瞑想を取り入れる方法があります。とにかく90分間が経過したら仕事の手を休め、目を閉じて呼吸に集中する時間を設ける。これはゴルフのように呼吸を整え、集中して丁寧にプレーする競技の選手たちが使うテクニックと同じです」
パワーナップや瞑想を習慣づけていくと、日中から少しずつ脳内の情報を整理していくことができる。その分、夜の睡眠への負担が減り、脳の疲労もあまり溜め込まなくて済むようになるのだ。
「良い睡眠が取れているかどうか。それを判断するには、日中に眠くなるかどうかが、答え合わせになります。医師に受診し『なんだか寝つきが悪いけれど、日中はバリバリ元気だ』という人は、生活指導で終わります。しかし『すぐに眠れるけれど、浅い眠りしかできなくて日中眠くなる』という人は危険で、即検査になります」