「寝る間も惜しんで頑張る」は美徳ではない 睡眠不足が選手の技能習得に及ぼす悪影響
幼少期からの睡眠時間が「健康や人生に大きな影響を及ぼす」
欧州では夏はバケーションの時期なので、スポーツの活動は一切中断する。だが日本では、逆に夏休みに活動を詰め込む。彼我の違いはもちろんだが、同じ日本国内で活動をしていても、夏にしっかりとオフを取ったり合宿中の練習の合間に昼寝を取り入れたりするなど休養を意識するかどうかで、秋口には成長の違いが歴然とする傾向が見て取れる。
「幼少期からしっかりと睡眠を確保できてきたかどうかで、成長ホルモンや眠りのホルモンであるメラトニンの分泌量も変わってきます。『もう少しサイズがあったらプロでやれたのに』などと残念なケースを招きかねませんし、何より健康や人生そのものにも大きな影響を及ぼします」
矢野はスポーツ界を中心に睡眠の重要性を説くことで、「親御さんたちにもメッセージが届き、スポーツがレベルアップして医療費が抑えられる社会作りに貢献できれば」と考えている。
(第2回へ続く/文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)