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サッカーを「教わる」か「学ぶ」か UEFAプロ資格者・高野剛が指摘、日本と欧米選手の姿勢の違い

「匠の世界」を築く日本の特性も素晴らしい

 フットボールプレーヤーが現役でいられる時間は限られている。それなら特長を磨き上げて貢献することに集中する傾向が強いという。

「日本では、どんな選手に対しても『見る、止める、蹴る』が重要だと口を酸っぱくして言われるし、実際に私もそうでした。しかしエバートンにどこの位置からでもゴールを見なくても決められるストライカーがいて、実際に彼はその特性だけを磨いてプレミアリーグで活躍しました」

 あくまで高野は、一つのことを突き詰めて「匠の世界」を築き上げていく日本の特性も素晴らしいと感じている。しかし、これからさらに日本代表が世界に伍して戦うためには、個々の指導者が少しずつ目線を変え、日本流の個の育成を編み出していくべきだと考えている。(文中敬称略)

【第1回】合格者は450人中27名 アジア人初快挙の高野剛、世界最難関のサッカー指導者資格に挑んだ理由

【第2回】米国で英語習得の日本人コーチ 渡英後に戸惑った“サッカー用語”の奥深さ「日本だと野球に近い」

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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高野 剛

サッカー指導者 
たかの・つよし/1973年10月4日生まれ。福岡県出身。アメリカで8年間指導者を務め、2005年からサンフレッチェ広島でジュニアユース、ジュニア、トップのコーチを歴任した。2010年にイングランド3部のハダースフィールド・タウンFCの育成組織に入団。日本人2人目となるイングランドサッカー協会(FA)公認・欧州サッカー連盟(UEFA)公認A級指導者ライセンスを取得した。2012年にサウサンプトン、2013年にアビスパ福岡のコーチ、2015年にタイのBBCU FCで自身初の監督を務め、タイ・プレミアリーグ昇格へ導く。2016年から3年間ギラヴァンツ北九州のU-18監督やアカデミーダイレクターを務め、2018年にアジア人初となるFA及びUEFA公認プロライセンスを取得。また、Jリーグフットボール本部育成部に所属し、育成改革プロジェクト「Project DNA」の立ち上げに関わる。2021年、STVV(シント=トロイデンVV)のHead of Football Strategy & Development 及びManaging Director of Youthに就任しチームの根幹を支えている。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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