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週6時間練習だけでは「絶対勝てない」 異色のラグビー監督、時短部活で花園挑戦の1年

昨年の県大会決勝で宿敵の東海大静岡翔洋に惜敗。花園出場に一歩届かなかった【写真提供:静岡聖光学院ラグビー部】
昨年の県大会決勝で宿敵の東海大静岡翔洋に惜敗。花園出場に一歩届かなかった【写真提供:静岡聖光学院ラグビー部】

練習外練習に取り組まないと「夢は実現できない」

 結果として、静岡県予選決勝で東海大静岡翔洋に12-22で敗れて、2シーズンぶり8度目、そして新体制1シーズン目の花園出場には届かなかった。県内で常に頂点を争う翔洋だが、今年度の全国高校ラグビー大会1回戦で常連の仙台育英を倒すなど着実に強化を続けている。その一方で、聖光は従来の「時短部活」という制約の中で、強化時間をやり繰りしながらの挑戦だった。聖光の時短練習と、時短のためには選手の自主性が求められるという取り組みは全国で注目され、今でも問い合わせや見学を希望する指導者が多いというが、ゴロー先生が実際に1シーズンの指導を終えて実感した理想と現実がある。

「時短で効率良く練習をするから、主体性を重視しているから、勝てますよという、そんなまやかしは実際にはないですね。去年負けたのは、東海大静岡翔洋が自分たちよりも何倍もハードワークしたからです。グラウンド練習の6時間じゃ、絶対に勝てないという現実があります」

 このチームの「時短練習」のプログラムを簡単に説明すると、チーム練習は火、木曜日と週末のみ。前述したように、2月から1時間半に戻ったが、その時間内ですべての活動を終わらせるため、ウォームアップなどは練習スタート前の選手各自に任される。それ以外の時間では、個々の自主練習が行われている。

「1週間の中でチーム練習以外の時間が150時間ほどある。時短と言われるが、実際はここに挑戦しないと夢は実現できないですね。ウエイトトレーニング、走り込み、ポジショナルスキルの練習は自分たち個人でやらなければいけない。強化のプログラムを考えると、1週間に8コマのトレーニングが必要だと考えています。ウエイトを6コマ、坂道走を1コマ、あとは長距離の走り込みを1コマ。これを、全体練習以外で振り分けてやっています」

 結果的に、平日は全日朝練が必要になる。チームを4グループに分けて、それぞれ計画表を作り、“練習外練習”を続けている。わずかな時間で効率良く部活に取り組んでいると見られがちだが、「もう空きがないくらい時間が埋まっている」(松山監督)のが現状だ。「(花園クラスの)高校ラグビーのレベルは明らかに上がっています。これくらいやらないと、このレベルのコンテストでは勝負にならないですね」と、初挑戦の1年間の取り組みを振り返る。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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