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妻の言葉で「ハッと気づいた」 中央大・駅伝監督が“怒らない”指導に変えた5年目の決断

SNSを利用して「発信力を高めていきたい」

 SNSは積極的に利用しているところ、または禁止しているところと大学によって異なっている。SNSは表立って出てこない情報収集の場であり、チームを世間に知らしめ、認知させる最強のツールでもある。藤原監督は、SNSを上手く利用していきたいという。

――SNSの利用について、藤原監督はどう考えていますか。

「私は、SNSを利用して発信力を高めていきたいと思っています。うちは、まだ発展途上の大学なので青学大や駒澤大に比べるとメディアに取り上げられる回数が少ない。それを補う努力を自分たちでしていかないといけないと思っています。特に青学大はSNSを上手く使って、いい意味で火をつけるというか、応援してくれる人を増やしているじゃないですか。我々もそういうところは大事にして、今の時代にマッチしたことをやっていきたいと思っています。またSNSでの発信を通して活動を知ってもらい、中大と組んだら何か面白いことができそうだ、と思ってもらえるようなパートナーを増やしていきたいです。もう1つはOB・OGへの発信ですね。あの藤原という若造は今、何をやっているんだということに対して理解を得るのは、うちの大学にはすごく必要なことなんです」

――SNSは発信したことに対して、称賛や批判がダイレクトに来ます。

「選手にダイレクトメールで批判などが来た場合は、私に言ってくるように伝えています。今の日本の世の中は、ちょっと失敗したら徹底的に叩くじゃないですか。それって日本の良くないところで、チャレンジ精神を失ってしまうと思うんですよ。

 私は大学時代は失敗してもいい年代だと思っていますし、失敗したら軌道修正したらいい。そういうところもできるだけオープンにしなさい、今は閉鎖的な時代じゃないからという話をして、SNSを使わせています。うちは頻繁に更新する子がいなくて、考えて使っている子が多いですね。そういう意味では口うるさく言わなくてもいいですし、40名ぐらいの部員なので目が行き届きやすいというのもあります」

 藤原監督のところにもSNS等でいろんな声が届く。整合性があることについては聞く耳を持つが、単なる誹謗中傷はスルーしている。現役時代に自分に投げつけられた様々な声や経験が今、SNSを使用する際に活かされている。今後も中央大をアピールするツールとしても、積極的に利用していくという。

【第1回】大学駅伝の名門「中央大が終わってしまう」 藤原正和監督、就任1年目に大改革の意図

【第2回】「4年間で燃え尽きないように…」 中央大・藤原正和監督の駅伝指導と現役時代の教訓

【第4回】少数精鋭の中央大でいかに駅伝を戦うか 名門率いる藤原正和監督が胸に刻む信念と葛藤

【第5回】箱根駅伝優勝へ、中大の“10年計画” チャンスは残り3回、藤原正和監督「風穴開けたい」

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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藤原 正和

中央大 陸上競技部 駅伝監督 
1981年生まれ、兵庫県出身。現役時代は中央大の中心選手として箱根駅伝などで活躍。2001年ユニバーシアード北京大会の男子ハーフマラソンで金メダルを獲得した。03年のびわ湖毎日マラソンでは日本人トップの3位入賞、2時間08分12秒のタイムは初マラソン日本最高記録とマラソン日本学生最高記録となっている。卒業後はホンダに入社。世界陸上の男子マラソンに2度出場するなどの実績を残し、16年に現役を引退すると中央大の駅伝監督に就任した。同年の箱根駅伝出場を逃すなど苦しい時も過ごしたが、着実にチームを強化。今年度は3大駅伝にフル参戦し、出雲駅伝3位、全日本大学駅伝7位の成績を引っ提げて箱根路に挑む。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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