箱根駅伝“常連校”との差とは? 立教大の“現役ランナー”監督が抱く、個を伸ばす難しさ
指導者として痛感する個を伸ばす難しさ
強豪校は、押しなべて部内の争いが激しく、選手間の競争意識が非常に高い。それは、選手同士がいがみ合うのではなく、お前には負けたくない、箱根を走りたいという熱い気持ちから生まれてくるものだ。そうして日常的に切磋琢磨することで、チームの力は着実に上がっていく。
「うちは『お前が外れた分も俺が頑張る』とか、『なんでお前が走って俺が走れないんだ』っていうのがないんです。選手同士優しいんですよ。お互いに情が入りそうなので、これまでの箱根予選会も全日本大学駅伝の予選会のメンバーも自分が決めました。本当は選手たち自身で、責任を持って決めるのが理想ですけど……」
選手の状態、練習メニューの消化率などを見ながら、上野監督は軌道修正して強化を続けているが、指導して2年、3年と経過するなかで、「個を育てるのは難しい」という各大学指導者の言葉を今、身に染みて感じている。
(佐藤 俊 / Shun Sato)