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箱根駅伝“常連校”との差とは? 立教大の“現役ランナー”監督が抱く、個を伸ばす難しさ

指導者として痛感する個を伸ばす難しさ

 強豪校は、押しなべて部内の争いが激しく、選手間の競争意識が非常に高い。それは、選手同士がいがみ合うのではなく、お前には負けたくない、箱根を走りたいという熱い気持ちから生まれてくるものだ。そうして日常的に切磋琢磨することで、チームの力は着実に上がっていく。

「うちは『お前が外れた分も俺が頑張る』とか、『なんでお前が走って俺が走れないんだ』っていうのがないんです。選手同士優しいんですよ。お互いに情が入りそうなので、これまでの箱根予選会も全日本大学駅伝の予選会のメンバーも自分が決めました。本当は選手たち自身で、責任を持って決めるのが理想ですけど……」

 選手の状態、練習メニューの消化率などを見ながら、上野監督は軌道修正して強化を続けているが、指導して2年、3年と経過するなかで、「個を育てるのは難しい」という各大学指導者の言葉を今、身に染みて感じている。

【第1回】箱根駅伝のスターから「走る」指導者へ 立教大・上野裕一郎監督、“55年ぶり”への挑戦

【第2回】“日本一速い”上野裕一郎監督が並走 箱根駅伝を狙う立教大、選手の成長促す異色指導

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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上野 裕一郎

立教大学 陸上競技部 男子駅伝監督 
1985年生まれ、長野県出身。佐久長聖高校1年時から駅伝で区間賞を獲得するなど活躍し、1万メートルで日本高校記録を出した。中央大学でもスピードを武器に1年時から箱根駅伝など主要大会で数々の好成績を残した。エスビー食品へ進むと、2009年には5000メートルで世界陸上ベルリン大会に出場。13年からはDeNAに移籍し競技を続けていたなか、18年12月に立教大学陸上競技部の男子駅伝監督に就任。現役選手としての活動も継続する「ランナー兼指導者」として、チーム強化に努めている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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