「常識を疑え」 箱根駅伝のダークホース、國學院大を支える監督の挑戦心
テクノロジーも駆使して「見える化」を推進
――練習で何か國學院大らしい取り組みをしているのですか?
「うちは、ガーミン(ランニング用時計)をリースして選手に配っています。前は、走った距離を紙に書いて提出させていたんですが、本当の正しい数字が欲しいと思ったんです。毎日、走った距離が私のところに飛んでくるので、すぐに分かるし、選手間の競争心を燃やすためにも利用しています。あいつがこのくらい走ったなら自分はもっと、という気持ちになりますし、強くなった選手が毎日、どこをどのくらい走ったのか分かるので、それを参考にしてジョグに取り入れる選手もいる。そうしたゲーム感覚を大事にした仕掛けを作りつつ、私はいろんなものの『見える化』を進行しています」
――見える化ですか?
「私は、紙に適当に書いて提出さえすればいいとか、そういう嘘偽りの関係が嫌いなんです。距離だけではなく、体重や体脂肪率も全部、アプリを利用できるように改革中です。いろんなことをオープンにしてやっていくチームにしたいんです」
指導者として学生の成長を促す指導論やチームを強化する方法論に天井はない。こうした管理や取り組みで日常の基準を地道に上げていくことが重要だ。そうすれば極端な話、監督がいつもその場にいなくとも選手自身で質を上げられるようになる。常識を疑い、指導の中身を変えていけば、それが可能であることを前田監督は証明しようとしている。
(佐藤 俊 / Shun Sato)