「常識を疑え」 箱根駅伝のダークホース、國學院大を支える監督の挑戦心
自分たちがやっていることを「見つめ直す作業は必要」
適切な距離感を取るのは簡単そうで、相当に難しい。まず、選手一人ひとりの性格、能力、現状を把握していないといけない。その上で選手が伸びるであろうという基準に立って、手を差し伸べるのか、距離を置くのか、冷静に判断しなければならない。一歩間違えば、過度の指導になって反発される場合もあるし、逆に指示待ちの学生になってしまうこともある。
――選手を成長させるために指導者が考えるべきことは、どんなことでしょう?
「私は、いろんなことに疑いを持つことだと思いますね。例えば朝練習です。冬の朝練はまだ暗く、寒い中、走りに行くわけじゃないですか。暗い道を走るので、車や自転車に注意しないといけないですし、足元にも気を配らないといけない。しかも寒いので故障のリスクもある。朝練がいつから常識になったのか分からないですが、本当に必要なものかどうか、自分たちがやってきたことを見つめ直して考えていく作業は必要だなって思います」
――常識を疑うということですか?
「そうです。例えば、選手を成長させ、力を発揮させるためには、寮生活の在り方も今のままでいいのかと思いますね。よく上級生と下級生を同部屋にしますけど、それは必ずしも必要なのかと考えているところです」
常識とされてきたものを疑い、それを壊して新しいことをチームに取り入れ、選手を導いていく。情報量が増える一方で指導する側が教えすぎたり、学生も教わり慣れている面もあるなか、常識を疑い、斬新な取り組みにもトライしていかなければチームを強く、長く維持はできないのだろう。