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社会人に必要なことは何か ラグビー元代表選手2人と学校経営者が考える「社会性」

ラグビー元日本代表と体を動かす児童たち【写真:松橋晶子】
ラグビー元日本代表と体を動かす児童たち【写真:松橋晶子】

社会に出て向き合う現実「答えは一つじゃない」

山口「私はチームプレーのスポーツをしたことがなくて、50歳になるまで友達がいなかった。どうやって友達を作ればいいのか、全然分からなかったんです」

小野澤「何でも人を巻き込めたら、そこで友達になれます(笑)」

菊谷「まずは学校教育の中でラグビーボールを使ってもらえたら(笑)。ラグビーは前に投げちゃダメ、落としちゃダメ、そういったルールがいろいろある。その中で、ラグビーボールという思ったところに行かないボールを、いかにみんなでつなぐか。そこが面白いと思うんですよね」

小野澤「ラグビーボールだけ導入してもらって、ルールはLCA国際小学校のオリジナルを作ってもらってもいいと思います。子供たちで話し合いながら、独自のLCAフットボールを作って下さい」

山口「ラグビーのチームプレーって社会性につながりますね」

小野澤「言語での情報伝達の比重が圧倒的に多くて、『ヘイヘイ』といった非言語ではプレーが成立しないので、伝えないといけない。もし伝わらなかったら、なんで伝わらなかったのか、二人で話し合う時間も重要なので、社会に通じることは多いと思います」

山口「うちの会社でも一番大切なのはチームだと思うんです。ただ、なかなか子供より大人の方がチームで力を出すのが難しくて。話を伺っていると、ラグビーにヒントがあるような気がします」

菊谷「何に向かってチームが進んでいくのか。そこに対して、みんながベクトルを合わせているか。ラグビー日本代表は前回のワールドカップで、そこを重要視していました」

山口「小野澤さんは『倒れるな』という本を出版なさっていますが、あの本で一番伝えたかったことは何ですか?」

小野澤「優しさ、ですかね(笑)。本の中ではサントリーで監督をしていた沢木(敬介)さんの悪口みたいなことも書いてありますが、本当はメチャクチャ仲がいいんです。沢木さんは僕の2歳上で、選手としても一緒にプレーしていました。監督になってからは僕にメチャクチャ厳しくて、30歳を超えて、日本代表のキャップを散々持っていても、チームに帰るとコテンパンに怒られました(笑)。365日のうち364日厳しい。でも、1日だけ優しい日があるんです。一緒に食事に行った時に『めっちゃ怖いんですけど』と言うと、『俺が他の選手に言わないのは分かるだろ。お前だから言ってるんだ。ありがとう』って。

 沢木さんには『お前、何やってるんだ? こうしろよ』ではなくて、『ベテランをそこに置いている意味を考えろよ』と言われました。そうすると、僕がチームに与える影響も含めて、自分の立ち位置で何ができるか考えるんですね。正解は一つじゃなくて、みんなでチームのことを考えながら、それぞれ何ができるか。沢木さんは上手く周りを巻き込んでいました」

山口「答えが一つじゃないというのは、まさに今、うちの学校でやろうとしていることですね。今まで子供たちは学校で答えが一つしかない質問をいっぱいされて育ってきた。でも、社会に出たら答えなんて一つではない。だから、いろいろな答えがあっていいんだ、という教育をしていきたい思いがあります」

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