本当のミスとは「チャレンジしないこと」 日本で4クラブを率いた外国人監督の信念
選手の顔色を見て練習メニューを決定「選手がついて来られなければ意味がない」
ただし、もちろんポポヴィッチは椅子に腰かけたまま怒鳴り散らすタイプの指導者ではない。大きな影響を受けたというイビチャ・オシム(元日本代表監督)と同様に、ポポヴィッチのトレーニングメニューはハードだった。
「でもそれを辛いと思えば辛くなる。いつも笑顔を忘れず、ここで何かを学ぶんだという気持ちで臨めば、全然辛くないはずだ」
ピッチに出てきた選手たちの顔色を見て、メニューを変更するのもオシム同様だった。
「メニューを作っても、選手がついて来られなければ意味がない。強行することで自信を失ってしまうこともある。選手の表情や状態を観察して、それに見合ったトレーニングを用意するのが私の仕事。トレーニングをしても効果が得られそうになければ、カフェにでも出かけてのんびり過ごしたほうが良い時もあるからね」
“そんなこともあったのか?”と聞くと、茶目っ気たっぷりの笑顔が返ってきた。
「それがないということは、トレーニングが上手くいっている証拠だよ」
(加部 究 / Kiwamu Kabe)