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“無名”18歳ルーキー・鎌田大地の衝撃 鳥栖時代の恩師が証言、「心に響いた」凄さとは

選手の凄さは「立ち姿や雰囲気に出る」

――森下さんはG大阪で証明しているように、若手の抜擢に定評のある指導者ですが、その秘訣は?

「自分ではストロング(ポイント)と思っていないのですが、選手を見て、感覚の中で“これは来るな”っていうのはあります。もちろん、みんな可能性はあるんです。でも、“この選手は、きっとヨーロッパのクラブまで行ってしまうな”というのは何か違って」

――感覚的なものなんですね。

「選手には、『心と判断と技術が大事』っていつも言っています。特に心の部分がないと、他があってもどうにもならない。心意気というか。それはサッカー選手としての立ち姿や雰囲気に出ます。ボールを扱う間にもつながって、これが大地はすごく響きました。うわって思いましたね。なんで、これだけの選手が他のチームに引っかからんのかなって不思議で。鳥栖にとっても、自分にとっても、ラッキーでした」

――先日、UEFAヨーロッパリーグ準々決勝、FCバルセロナとの第1戦での鎌田のプレーは見事でした(1-1と引き分けた後、第2戦に3-2で勝利し、ベスト4に進出した)。

「大地は上手く脱力することで、相手を見ているし、周りも見えている。さぼっている、休んでいるわけではなくて。例えば、ペドリとの局面でのマッチアップではスイッチが入っていました。とにかくボールを取られないし、ほとんどロストしていないと思います。走り出しのタイミングも抜群に良くて、味方が出してくれたらチャンスになっていたシーンもいくつかありました」

――さらに上のレベルでやれそうですね。

「もっと高いレベルでやれるはずです。ワールドカップの日本代表としても。大地は要求すればするほど、絶対にやれる選手。『大地、ここやぞ』と要求したら、もっとやれるところを見せるでしょう。鳥栖時代も要求に応えてくれました。ただ、言葉を発せずにプレーで見せるタイプというか、『仁志さん、こうやろ?』みたいな感じでやってのけてしまう」

――鎌田選手は見かけによらず、熱量の豊富な選手ですね。

「今まで出会った選手で、トップレベルに行く選手というのは感情のアベレージが高いです。起伏が少ないというか、乱れを見せず、感情を出してもコントロールしながら、自らも奮い立つことができる。それは偉大な選手につながる要素かもしれません」

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森下仁志

ガンバ大阪ユース監督 
1972年生まれ、和歌山県出身。現役時代は帝京高、順天堂大を経て95年にガンバ大阪に加入。コンサドーレ札幌、ジュビロ磐田と渡り歩き、J1通算202試合9得点、J2通算37試合1得点の成績を残した。2005年の現役引退後は指導者の道へ進み、12年に磐田監督に就任。京都サンガF.C.、サガン鳥栖、ザスパクサツ群馬の監督を経て、19年に古巣G大阪U-23監督となり、昨年からユースを率いている。中村敬斗(現LASKリンツ)や食野亮太郎(現エストリル・プライア)らの才能を引き出すなど、若手の指導に定評がある。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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