最大の問題は「いびき被害」 全寮制部活を睡眠コーチが指導、安眠に必要な8つの習慣
サーカディアンリズムを整える8つのルーティーン
これまで寮生活や部活の合宿はもちろん、競技によっては日本代表レベルでも「いびき被害」は笑い話で済まされてきた。しかし、いびきが恒常的に安眠を妨げていたとしたら、パフォーマンスや成長にも甚大な影響を及ぼしかねない。結局日本のスポーツ界全体が、睡眠に関わるコンディショニングについてあまりに無頓着だったことが分かる。
実際、相生学院の選手たちも「睡眠に関する基礎知識がまったくない」状態だったので、まず矢野はサーカディアンリズム(体内時計)を整えるためにやらなくてはいけない8項目のルーティーンを伝えた。
1.毎日決まった時間に起床する
2.起床したら、太陽の光を浴びる
3.毎朝、規則正しく朝食を取る
4.15時以降にうたた寝をしない
5.就寝の3時間前に夕食を済ませる
6.就寝の1時間前からは、強い光を避ける
7.就寝の90分前から、40~41度の湯舟に15分間ほど浸かる
8.寝る前にスマホを見ない(見ていなくても充電しながら傍に置かない)
睡眠を味方にすると、競技に取り組むマインドも変化していくことは初回でも紹介した。深い睡眠が取れれば、ネガティブな記憶を消去しやすくなるので、切り替えの上手い積極志向に変われる可能性が高い。
「もし今、眠りが浅くて消極的になりがちな選手がいたら、ルーティーンを整え、深い眠りを獲得することで強気な自分に変えられると信じて取り組んで欲しいと思います」
矢野のビジネスパートナーで世界最高のスリープコーチ、ニック・リトルヘイルズが指導をしているのは、国際的に頂点を競う恵まれた環境に置かれたチームばかりだ。そういう意味では、4人部屋の寮生活を送る高校チームでの指導は、日本ならではの新境地への挑戦となる。
(第4回へ続く/文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)