日本サッカーの真の底上げとは ブラジル帰りの元プロ選手が感じる育成年代の課題
育成年代では焦らずに基本を身に着けさせることが大切なのは、大半の指導者が認識している。しかし檜垣裕志(明光サッカースクール・ヘッドコーチ)は「本当の基本とは何か。それが浸透していない」と感じている。
【短期連載最終回】檜垣裕志「利き足指導法」の挑戦――日本の育成年代に必要な真の技術指導
育成年代では焦らずに基本を身に着けさせることが大切なのは、大半の指導者が認識している。しかし檜垣裕志(明光サッカースクール・ヘッドコーチ)は「本当の基本とは何か。それが浸透していない」と感じている。
「きちんとボールを持って奪われない。一番大事なのは、そこです。日本の育成は、楽しいトリッキーな技を覚えるか、指導者が勝つためのチームを作ろうとするか、両極端に分かれてしまい、本当の基本を教えようとしていない。フィジカルの強い小学生を集めて、勝つためのプレーをさせれば、相手のテクニックが未成熟なら結果が出る。しかしトリッキーなドリブルを始めるためには、最初のタッチでボールを収める技術が必要です」
4年前のU-17女子ワールドカップで日本は世界制覇を成し遂げているが、檜垣の指導を受けた2人の選手が、この快挙を経験した。
佐藤瑞夏(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)と大熊良奈(浦和レッズレディース)である。
「瑞夏は会うと『トラップ&キックだけで1時間半くらいやらされたよね』と笑って言います。黙々とこなすトレーニングですが、こちらにそれが大事なんだという信念があれば伝わります。Jクラブのアカデミーでエース格でも、オフの日にこっそり練習に来る子もいました。自分のことを上手くしてくれるのは、ここだと感じてくれたんだと思います」
そういう意味では、Jリーグでもアカデミー本来の目的を見失いがちなクラブがあるのかもしれない。