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中高生の睡眠時間は「8~9時間の推奨を」 良質な眠りを実現させる4つの要素とは

質の良い睡眠を実現するために必要な「リズムづくり」

――スポーツ選手が良質な睡眠を取るため、指導者ができることはありますか?

「前提として、必要な睡眠時間には個人差はありますが、だいたい8時間から9時間の長めの睡眠を推奨していただきたいと思います。

 加えて、1回目でお話ししたように毎日をある程度決まったリズムで過ごしてもらうことが睡眠の質を上げるうえでは重要です。リズムをつくるために大事な要素は大きく四つあります。一つ目は光、二つ目は運動、三つ目は食事で、四つ目は社会的因子と呼ばれるものです」

――リズムづくりが大事なのですね。一つ目の「光」について詳しく教えてください。

「光は一日のリズムを整えるうえで特に重要な要素で、なるべくなら午前中に日光を浴びる習慣をつけてください。光を浴びることで、夜に眠気を引き起こすホルモン、メラトニンの分泌量が増えます。学校に行けないときや、休日でも、ちょっと朝ごはんを買いにコンビニまで歩くだけでも効果があります。朝から外に出られない場合は、カーテンを少し開けて日が差し込むようにしてもらうだけでも良いです。

 夜は逆にしっかり暗くしてもらうことが大事です。なるべく強い光が出る照明の使用は避けてもらうと良いと思います。PCやスマホなどのデバイスを寝る前に使用する場合、PCならブルーライトをカットするアプリを使う、スマホならナイトモードにするなどの対策をすると良いと思います」

――二つ目の「運動」について詳しく教えてください。

「これまでと同じタイミング(朝練・昼練・夕練など)や同じ量でトレーニングをしてもらうことが質の良い睡眠につながります。個人の調子の良い時間帯を尊重してあげることも重要です。

 しかし、寝る直前の運動は避けてもらうべきです。血圧や脈拍が高まり睡眠の妨げになります。就寝前の運動で高まった血圧は一晩中下がらないという研究結果もあるほど。就寝前は体をクールダウンさせるストレッチ系の運動以外はしないように指導してもらいたいですね」

――三つ目の「食事」について詳しく教えてください。

「食事のタイミングは体内時計に影響を与えますので、運動と同じく、規則正しくとることが睡眠の質の向上には有効です。また、寝る直前の食事は逆流を引き起こすので、少なくとも寝る数時間前には食事を終えるよう気をつけてもらえればと思います」

――四つ目の「社会的因子」について詳しく教えてください。

「社会的因子とは社会との関わり合いや人とのコミュニケーションのことで、それらがないと睡眠の質が下がることが分かっています。学校にも行かず、日中誰とも一言も喋らないと、布団に入ってから脳が活性化してしまい寝付けなくなるケースもあります。

 睡眠とは少しずれますが、コミュニケーションはメンタルにも影響を与えます。特に自粛期間中のように、外に出られずチームの選手同士が会えない場合はコミュニケーションツールを使ってオンラインで交流するなど対策をしたほうが良いでしょう。逆に、家族と過ごす時間が増えてストレスがかかるケースもあります。その場合は、少しでも一人の時間を持つようにしてもらうと良いでしょう」

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