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デーデー・ブルーノ、夢はパリへ サッカー時代の劣等感をプラスに変えた恩師の指導法

高校時代のデーデー・ブルーノ【写真:松本国際陸上競技部提供】
高校時代のデーデー・ブルーノ【写真:松本国際陸上競技部提供】

「開花したのは父がナイジェリア人だから」の声を恩師は否定

「顧問の先生からの『苦しくなってから勝負だ』という言葉は今でも自分を励ましてくれます」

 この言葉は、山﨑監督自身の座右の銘。父から教えてもらった言葉だった。「苦しくなってないときは勝負でもなんでもないよ。苦しくなったときにようやく自分がその舞台に立った、本当に戦う場面になってくるよ」。ブルーノの素直な心に響き、ひと回りもふた回りも成長する原動力になった。

 ブルーノの父はナイジェリア人。陸上で開花したのは父譲りの身体能力という声に、山﨑監督は反発する。

「みなさんいかに彼が身体能力でやっているかという話になっちゃう。でも、そうじゃないんですよ。彼のすごさはその劣等感というか、諦めたことを、何かに挫折したことをハネ返してきたことが強さじゃないかな。

 サッカーをやって全然ダメだった。サッカーの技術なのか、人間関係なのか、それは聞けない。でも、ブルーノは陸上に救われ、友達に救われた。ずっと続けていたスポーツで挫折したってハネ返すことができる、人生変わることができるとは私は思っている」

 実は松本国際高では、競技変更によって思わぬ好成績を出した生徒はほかにもいる。

「種目さえ変えれば、こっちがびっくりするような結果を出す子がいるんです。ブルーノと同級生で、野球部を辞めてやり投げをやったらインターハイに行った子がいる。女の子で100メートルをやらせたんですけど、うまくいかないなと思ってハンマー投げに転向したら県2位の成績を挙げた子がいる。そう思うと、いろんな可能性があるんです」

 彗星のごとく現れ、陸上界のスター候補生になったブルーノ。東京五輪で走ることができなかった悔しさをぶつける舞台は、また訪れる。

(THE ANSWER編集部)

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