為末大「努力は夢中に決してかなわない」 選手を競技に没頭させる指導のヒント
ロールモデルは遠い存在、近い存在、両方いるといい
話は変わりますが、中学生や高校生の選手にもロールモデルがいた方がいいのでしょうか、という質問を受けることがあります。ロールモデルを持つこと自体はいいのですが、いくつか落とし穴があります。
例えば、すごい人をロールモデルにすると、「遠すぎて届かない」という気持ちが生まれ、あきらめてしまうリスクがあります。また、ロールモデルがやっていることをただマネするのも問題があります。例えば、イチロー選手がカレーを食べているから、カレーを食べるとか。いろいろな背景やロジックが積み重なった上で、行われていることなのに、本質が抜けたまま、単に分かりやすい部分だけマネをする。それではかえって害になってしまいます。
もうひとつの落とし穴は、選手が自身で考えるのを放棄してしまうことです。
一方で、身近な人をロールモデルにするのは参考になることが多いので、近くにいる人をキャッチアップするのはいいと思います。遠く、近く、両方のロールモデルを持つのをオススメします。