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欧州サッカーで進むクラブと大学の提携 異分野の頭脳も集結、日本の“先を行く”研究

日本より英国が「すべて優れている」とは思わないが…

 さらにバックグラウンドの異なる分野から、サッカーの研究に乗り出すケースも目立つようになったという。

「例えばリバプールは、データ・サイエンティスト(データを活用し有益な情報を導く)を招聘し、モハメド・サラーの獲得に踏み切ったそうです。チームの戦力データを分析し、このメンバーでプレーした場合に最も効率的にゴールを奪えるFWを検索すると、サラーだという結論に至ったそうです」

 また塚本も出席した「バルサ・イノヴェーション・ハブ・スポーツ・アナリスト・サミット」では、ハーバード大(アメリカ)の学者が最優秀賞を獲得したが「経歴を見たら、それ以前は別の大学で天体物理学を研究していた」ことが分かった。

 塚本は日英を比較して、すべて英国のほうが優れているとは思わない。ただし英国のほうが多彩な最新情報が集まってくることは、動かしようのない事実だった。

「もちろん日本にも物凄く勉強をして先を行っている指導者もいます。でも現実的には、英国でだいぶ前にブームが去ったことが今、日本で取り上げられていたりする。僕なら、その差を少しでも埋められると思うんです」

 塚本の夢は、欧州のトップクラブで指揮を執ることだ。しかし一方でせっかく英国で蓄積した知見を、日本に還元したいとも考えている。

(第6回へ続く)

[プロフィール]
塚本修太(つかもと・しゅうた)

1997年6月21日生まれ、茨城県出身。幼少期からサッカーを始め、小、中学校は地元のチームに所属したが高校は名門・前橋育英高校サッカー部に進学。度重なる怪我で高校2年の夏に中退したのち、サッカー指導者を目指すためにイギリスのソレント大学のフットボール学に進学。サッカーを学問として勉強するなか、FAの心理学ライセンスはレベル5まであるなかで日本人で初めてレベル4まで取得。その他にもスカウト、分析、フィジカル、コーチングの資格を取得。コーチをしていた育成年代のチームは2年連続その地域での年間優秀チームに。昨年は小林祐希(ワースラント=ベフェレン)の個人分析官を担当した。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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