今の子どもの指導に悩む大人へ ストリートスポーツ界のカリスマは「一切教えません」
反抗期を経て父に感謝も…瀬尻「父ちゃんみたいな教え方はしないですね(笑)」
実際のところ、瀬尻も嫌になった時期があったという。
「結構厳しかったし、怒られながらやっていて、スケボーが嫌な時期もありました。9歳から11歳くらいですかね。大会で結果が出ていた時で、常に大会の練習。自分のやりたくない技とか、自分的には絶対無理だよっていう技も『やれ!』って言われてやったりして。できる時もあれば、できなくて怪我をする時もある。そういう中で『父ちゃんはできないのに、なんでそんなに言うんだ!』って、めっちゃ怒ったり嫌になったりっていう時期はありました」
中学生になると反抗期を迎え、高校生になる頃には「気が付いたら父ちゃんも自分の練習から離れて、『1人で滑りな』みたいな感じになっていた」という。いざ、1人で滑り始めると、父の影響の大きさに気付いたという。
「『スケボーは楽しいけど父ちゃんと行くスケボーはしんどい……』みたいなのが、ずっと続いていたんですけど、1人で滑りに行くようになって、どんどん楽しくなって。でも『楽しい』に変わった時、ある程度のスキルがあったし、自分のやりたい技もできるしって考えたら、『ここまでできるようになったのも父ちゃんのおかげだな』って思いました。だから、全然嫌いじゃないし、感謝しています。でも正直、自分が親になったら、父ちゃんみたいな教え方はしないですね(笑)」
自分が子どもに教える立場になったら、瀬尻はどんなアプローチを取るのだろう。今、思い描いているのは「一緒にスケボーして、一緒に楽しんで、楽しい部分を共有する形」だ。
「例えば、自分が実際に友達と楽しく滑っているところを見せて『スケボーって楽しそう』って思わせたり、ビデオパートを一緒に見て『これカッコイー』って思わせたり。自分もそうだったんですけど、ビデオを見ると子どもなりに『このスケーターよりあのスケーターの方が好きだな』って好みがあって、そうなると『同じ技ができるようになりたい』とか『ジーパンを真似してみよう』とか、憧れが生まれる。だから、子ども本人がスケートをカッコいい、楽しいって思える方が成長するだろうなって思います」