コミカル過ぎて監督は怒られてばかり… 爆笑必至の鹿児島実業・新体操、今年は!?
南部九州総体2019(インターハイ)に出場する鹿児島実業高校の男子新体操部は、例年、コミカルな演技で話題を呼んでいる。全員丸坊主で一休さんに扮したり、モヒカンカットにウルトラマンのコスチュームを着こんでウルトラセブンの曲で踊ったり……。体操の技を見せるだけでなく、流行の曲やギャグを織り込み、観衆を楽しませる演技は、数々の失敗を重ねながら磨かれてきた。
インターハイ新体操は6日開幕、ユニークなパフォーマンスで話題の鹿児島実業・男子新体操部の魅力に迫る連載最終回
南部九州総体2019(インターハイ)に出場する鹿児島実業高校の男子新体操部は、例年、コミカルな演技で話題を呼んでいる。全員丸坊主で一休さんに扮したり、モヒカンカットにウルトラマンのコスチュームを着こんでウルトラセブンの曲で踊ったり……。体操の技を見せるだけでなく、流行の曲やギャグを織り込み、観衆を楽しませる演技は、数々の失敗を重ねながら磨かれてきた。同部の魅力を全3回に分けて、紹介する。最終回は樋口靖久監督のインタビュー後編。
◇ ◇ ◇
――今では、コミカルな演技が定評を得ていますが「ふざけている」という印象を与えてしまうなど、受け入れられない部分で苦しんだこともあったのでは?
「2002年くらいに観客に受け入れてもらったあたりから、生徒はコミカルな演技ばかり作るようになり、今度は私が『そんな変な動きばかりじゃダメだ』と技を取り込んだり、演技のつなぎの部分を考えたりするようになり、役割が逆転しました(笑)。ただ、観客が認めてくれても、新体操の世界では『なんだ、あれは』という声は根強かったですね。それでも、07年頃から、動画投稿サイト『YouTube』が流行り始めて、誰かが投稿した私たちの演技が広く知られるようになりました。すると、テレビ局の撮影など取材をしていただく機会も出てきて、生徒も周囲も前向きになっていきました」
――全国大会で上位に入るよりも注目を集めている現状をどう感じていますか。
「今の状況は、不思議に感じています。競技というのは、古くから強くて勝って注目されるものでした。それが逆転してしまっています。下手で弱いのに、注目されているのですから。でも、子どもたちを見ると、周りから見られるようになったことで、何か自信を持てるようになったのだと感じます。下手ですけど、全国大会でも堂々と演技をできるようになりました。コミカルな演技にしたのは、元々の狙いがそこだったので、良かったなと思っています(インタビュー前編を参照)」
――様々な工夫が凝らされていますが、これまでの作品で苦労した部分は?
「グレーゾーンを攻めていくことが多いので、かなり怒られています(笑)。毎年、審判に呼び出されるのが恒例になっていますね。2012年に『一休さん』をやったときは、生徒が丸坊主になって演技をして、私も坊主頭なので、白い和風スーツを着て一緒に演技をしてみたのですが、めちゃくちゃ怒られました。
指導者の服装は、大会前に高校体育連盟には確認してみましたけど、規定はなかったのですが。あとは、演技の最後に生徒が監督席の前に来て、私を指さすような仕草をして、それに合わせて私が動くので、演技中に生徒とコンタクトを取ったということで、これも怒られました。生徒だけを見てくれればと思ったのですが……(苦笑)」
――どこまでネタに走るか、難しいところですね……。
「次の年は、ヴィジュアル系バンドのゴールデンボンバーさんが流行っていたので、白塗りのメイクをしている樽美酒研二さんを模して、演技に使う滑り止めの白い粉(炭酸マグネシウム)を顔に塗りました。どこに塗ってはいけないという規定はなく、顔を持つ演技があるので、滑り止めとして使用した結果……と言ってはみたのですが、これも怒られました(笑)。
極めつけは、2016年の『ウルトラセブン』です。髪型に規定がなかったので、生徒が全員モヒカンにして演技をしたのですが、私は反省文を書くことになりました……。それで、昨年は(18年5月に亡くなった西城秀樹さんの曲の)「ギャランドゥ」をやって、下腹部から胸元までの体毛を模したコスチュームにするなどいろいろとやったのですが、もう怒られるのは嫌だなと思って、演技の最後に和田アキ子さんの『笑って許して』を入れて、生徒が頭を下げるポーズにしました。演技構成は基本的に生徒のアイデアを入れ込んで作るのですが、最後のポーズだけは、僕のためにやってもらいました。それでも怒られて『笑って許してもらえなかった』というオチがつくかなと思っていたのですが、初めて怒られず、許してもらえました(笑)」