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部員ゼロ時代も… なぜ、6人の柔道部が2人のインターハイ出場を掴めたのか

立教新座は部員6名の切磋琢磨で掴んだ39年ぶりのインターハイに挑む【写真:荒川祐史】
立教新座は部員6名の切磋琢磨で掴んだ39年ぶりのインターハイに挑む【写真:荒川祐史】

「ゼロか、2か」で掴んだ快挙、中道監督が学んだ「やってやれないことはない」

「一人で和歌山から出てきて、自分を厳しい環境に置いている山本を見て、実家暮らしの自分が、彼と同じ練習をしているだけでいいのか? と思うようになりました。勝ちたいならば山本と同じだけ練習をするのはもちろん、それ以上のことを、やらないといけないな、と」(佐々木)

【動画】立教新座柔道部の練習風景

 15分あればトレーニングの1種目ができる。中道監督の「隙間の時間を有効に使いなさい」という言葉を受けて、懸垂などの補強トレーニングや自分の欠点をつぶすための練習に充てた。

「また、投げ切るとか、抑え切るとか、最後の最後まで攻める、やり切ることを意識したら練習が変わりました。以前は、投げればいいかなぁ、このぐらいできればいいだろう、という妥協があったし、それが試合での詰めの甘さとして出た。キワの部分まで意識して練習を積み重ねるうちに、自信もつき、インターハイ出場が目標ではなく、本大会に出てからがスタートだと考えるようになりました」(佐々木)

 そして、迎えたインターハイ埼玉県予選。2人は順調に勝ち上がり、まずは60キロ級の山本が決勝進出を決めた。中道監督は続く、73キロ級の準決勝での佐々木の勝敗によって、立教新座の代表選手が「ゼロか、2か」決まると考えていた。

「山本は常に決勝まで勝ち上がるが決勝でやられる。でも、佐々木が決勝まで上がれば重圧も減り、決勝でもきっと力を出せる。佐々木は山本が優勝を決めれば『ヨシ、もっと派手な勝ち方で自分も決めてやろう』と勢いづくタイプ。そうなればきっちり優勝するだろうと思いました」

 期待通り、佐々木は高校で初の決勝進出を決める。「こっちも負けられないと思った」という山本は決戦を前に心を整えた。ゆっくりと呼吸を繰り返し、胸を叩く。過去のような、硬さはない。最後に大きな声を出し、試合場に向かった。

 結果は山本、佐々木ともに優勝。立教新座は2名がインターハイ出場を決めた。「『やってやれないことはない』。この1年、私のほうが子どもたちから、いろいろなことを教えてもらいました」(中道監督)

 部員6名の切磋琢磨で掴んだ、39年ぶりのインターハイ。立教新座柔道部の新たな伝統が幕を開けた。

◇インターハイの柔道は8月8日より5日間にわたって熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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