エディーHCが思う日本の部活 20年変わらない疑問と「言われた事をよく聞く日本人」
日本の部活動の在り方を考える「THE ANSWER」の連載「ニッポン部活考論」。今回はラグビーの前日本代表ヘッドコーチ(HC)で、現イングランド代表HCのエディー・ジョーンズ氏が登場する。
連載「ニッポン部活考論」―日本を熟知する世界的名将が見た日本のスポーツ指導
日本の部活動の在り方を考える「THE ANSWER」の連載「ニッポン部活考論」。今回はラグビーの前日本代表ヘッドコーチ(HC)で、現イングランド代表HCのエディー・ジョーンズ氏が登場する。
南アフリカ代表のテクニカルアドバイザーとしてワールドカップ(W杯)を制した世界的名将は、かつて母国オーストラリアで高校教師を務め、日本では大学で指導経験もある。日本人の夫人を持ち、文化に理解が深い名指導者には長年、見守ってきた日本のスポーツ指導の現場をどう見ているのか。独占インタビューで語った。
【特集】「夢を与えてあげてください」世界一を知る名将が日本の指導者に贈る言葉 / ラグビー エディ・ジョーンズ氏(GROWINGへ)
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「もし、ラグビーと出会っていなかったら、どんな人生を歩んでいたのか」
そんな問いをジョーンズ氏にぶつけてみると「高校の教師になっていただろうね」と即答した。それほど、ラグビー界の世界的名将にとって子供を指導し、成長させることに興味、関心は強い。実際、社会人としてのキャリアのスタートも母国・豪州での高校教師だった。
そして、1995年に東海大を指導するために来日し、翌年から東海大コーチ、日本代表フォワードコーチに就任。ラグビー指導者としての人生を歩み始めた。その後のトップリーグ、代表HC時代を含め、長年に渡り見てきた日本の育成年代のスポーツ指導現場は、どう映っているのか。
「変わっていないと思う。それは今、見てもだ。日本で指導をしていた頃から、代表監督として20年後に戻ってきた形になるが、高校、大学の指導の仕方は全く変わっていなかった。上から『私が監督だから言う通りにやれ』というスタイル。時にはそう言わなければいけない時もあるが、そこが変わらないといけないと感じている」
97年に日本を離れ、各国で指導を歴任。W杯の経験を経て、12年に日本代表監督に就任した。その間、日本の“トップダウンスタイル”の指導は変化していないと感じ、疑問を呈した。なぜ、上意下達の指導には問題があるのか。弊害は、選手の主体性を奪う可能性にあると指摘する。