“理不尽”を超えてゆけ 川口能活が考えるプロになれる人、なれない人の差
「それまでは体育の先生になろうと」…川口が高校時代に掴んだ「チャンス」
講演で明かしたのは、川口自身、プロを意識したのは意外にも遅く、清水商(現・清水桜が丘)2年生の頃だったという。そのきっかけは、U-19代表でワールドユース予選という「チャンス」を掴んだことだった。
「アジア予選で戦った経験で自信をつけ、さらに上のレベルでサッカーをしたいと思うようになった。それまでは体育の先生になろうと思って、大学に推薦で行くことを考えていた。でも、それをきっかけにして、上でやるなら大学よりプロの方がいいと思った。自分が経験したことを高いレベルで生かしたいと考えたからです」
こんな秘話を明かすと、生徒たちも食い入るように耳を傾け、聞き入っていた。そして、プロという夢を叶えた川口が説いたのは、視線を常に「目の前」に置くことだ。
「夢や目標はもちろん持ちながら、目の前のことを全力でやってほしい。先のことばかり考えるんじゃなく、目の前に置かれた現実に向き合ってほしい。僕は実際にそうしてきた。目の前の練習から手を抜くことなく、一生懸命やること。それが、必ず自分の糧になるから」
18歳だった高校時代も、41歳となった今も目の前の練習から全力でプレーし、「楽しさ」を見出している。プロの道を切り開く「差」となった精神は、プロ選手を目指すサッカー少年はもちろん、未来ある高校生たちにとっても重要な意味を持つものになるだろう。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer