部活は「学び」と「楽しむ」どちらが先か 教育主義の日本とバスケ欧州名門の違い
あなたはなぜ、部活をしていましたか。協調性、上下関係、努力の大切さ、目標に向かって仲間と気持ちを一つにすること……。学べることは無数にある。これを学ぶことが、部活動に汗を流す意味の一つでもあるのだろう。
バスケ・レアル財団の技術指導責任者に聞く、成長に必要な前向きなメンタル
あなたはなぜ、部活をしていましたか。協調性、上下関係、努力の大切さ、目標に向かって仲間と気持ちを一つにすること……。学べることは無数にある。これを学ぶことが、部活動に汗を流す意味の一つでもあるのだろう。
ただし、きついことを、厳しい環境の中で「嫌々」していた人も多いのではないか。後々、大人になって振り返れば「いい思い出」や「経験」として残るのかもしれないが、嫌なことに屈する子たちもいる。
親や先生の目線からすれば「スポーツを通じて何かを学んでほしい」という願いがあるが、何を得られるか実感が湧かない子供からすれば「なんでこんなことを?」と疑問に思う場合もある。全員が将来的な第一線での活躍を志しているわけではないものの、技術の向上、勝利を目指すうえでも、「楽しい」という前向きな気持ちが大切なのではないか。
日本の部活動の在り方を考える「THE ANSWER」の連載「ニッポン部活考論」。今回のテーマは、スポーツは「学び」と「楽しむ」どちらが先か。8月、スペインの名門クラブ、レアル・マドリード・ファンデーション(財団)バスケットボール部で技術指導責任者を務めるアドリアン・ジージャ氏に取材する機会があった。
「学び」と「楽しむ」。スペインではどちらを念頭に置くことが、レベルアップに繋がるのか聞いてみた。ジュニア年代の育成責任者である同氏は言う。
「レアル・マドリードとしては、後者の方ですね。楽しんでスポーツをした結果に学びがある。子供たちのモチベーションを上げたり、身体的な面でスキルを向上させたりするのも、楽しむということが先に来ます」
バスケットボールの男子スペイン代表は、世界ランク2位の強豪国。レアル・マドリードは下部組織から選手を育て、NBA選手も輩出している。世界的ビッグクラブのサッカーと同様に子供に競技を教えているが、あくまで同クラブでは「楽しむ」が先行しているという。それはなぜなのか。ジージャ氏は続けた。
「レアル・マドリードは楽しむことを尊重していて、心理学的に楽しんでいる方が子供たちは学ぶことができる。それが心情です。なので、後者の方がレアル・マドリードの育成方針としては近いものがあります」