東大エース・渡辺向輝が練っていた「アメリカに勝つ方法」 父の姿にもヒント…独自スタイルが“嫌がられる”ワケ

アンダースローに眠る今後の可能性「球種がまだ成長段階」
「自分の身体の中で、オーバースローで行ける限界までたどり着いたと感じたんです。東大の打者にシート打撃でも打たれちゃうし、リーグ戦だったらなおさら打たれるだろうなという状況で。もう変えるしかないなと思って変えました」。人と違うことに価値を見出し、変わったからこそ、日本代表候補にまでたどり着いた。そしてアンダースローには、まだまだ可能性があると感じている。
「スライダーも結構、やみくもに投げている状態ですし、速いストレートも今は優先度が低いから使ってないと言っていますけど、裏を返せば、他の球種と組み合わせて威力を発揮できるほどではない。他の球種がまだ成長段階にあると考えているんです。ここから、ストレートも使える段階に行きたいなと思っています」
2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、父は3試合に登板して防御率1.98。2009年の第2回大会でも、2試合2イニングを無失点。パワーで優勢な海外の選手を苦しめた実績がある。
2004年2月生まれの渡辺に、当時の記憶はない。ただ動画で見た父の投球には共感できた。「相手からしたら嫌だろうなと。練習していない球速帯ですし。ふだん練習していることに逆行してしまうでしょうし、相手もこのボールを打っても評されないというか。嫌がらせと言ったら言葉が悪いかもしれませんが、そういう意味で言えばすごくいい戦い方じゃないのかと思いました」。同じ道を歩く者として、大きな気付きだった。
海外の選手の抑え方としても「参考にはなりますよね」。一方でこの20年、世界規模で野球のトレンドが変わっているのも頭にある。「ただ、当時と違って今はフライボール革命が進んでいる。そこを織り込んで考えています」。
日本代表の選考合宿で、堀井哲也監督(慶大)は全選手に、米国にどう勝とうと考えているかレポートを求めた。渡辺は「自分の強みは、相手に狙った打球を出させることができること。フライを打ちそうな打者であればスライダー中心にフライを打たせて、ゴロを打ちそうな打者であればゴロを打たせるように、打者の傾向に応じて配球を切り替えて抑えます」と答えたという。感覚と頭脳をフルに活用した投法が、大リーガーのタマゴにどう見られたのかは大いに興味があるところ。いまはその知恵を、秋までの進化に活かす。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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