複数の活動に取り組める可能性…斎藤氏もアイデア続々

　その上で「ピンチはチャンス」と言ってのける。自身が中学時代、1年半ほどバレーボール部に所属していたことと、膝を怪我して野球に戻った経験を「野球をやる上でも大きかった」と振り返る。

　部活動が地域主体になれば、一つの種目や活動に縛られる必要はなくなる。「日によっていろんな運動や体験ができるというプラス面があるかもしれない。日本の『地域が人を作る』という文化を、今は忘れてしまっているかもしれないのを応援したい」と、文化部まで含めた幅広い体験の中から、子どもたちが自分に合うものを選んでいくという流れを思い描く。

　さらに「部員の少ない中学校がある。部員が1人だけで野球がやりたい子もいるかもしれないけど、これを地域で受け入れればプレーを実現できるかもしれない」と、地域を横断して野球の場が広がる可能性も指摘する。

　また斎藤氏も、中学時代は学校の軟式野球部でプレーしていた。子供の成長にとってこの時期は「最も自立が求められる期間」だと位置づけている。自身の中学時代、顧問の先生は野球のプレー経験がなかった。「じゃあ、だれがサインを出す？ってなって。塁上でキャプテンだった僕がサインを出したり、みんなで作戦を考えたり」と今でも楽しげに振り返る。

「小学生の時は親のサポートが前提になっている面もありますよね。でも中学は違う。自分で考える、自立する経験というのが高校、大学へつながると思うんです。ここでどういう野球をするかでその後が変わる」という重要な時期だ。

　その年代の野球を活性化するために、何ができるのか。斎藤氏は私案だと前置きしながらも「育成システムの確立が必要だと思う。人によって教え方は違うけれど、ここだけは抑えるというものを野球界として作る」「指導者がたくさんいる場所と少ない場所がどうしても出てくる。元プロの選手だった人もいる。需要に対してマッチングするサービスを作れないか」と様々なアイデアが口をつく。日本ハム時代には師弟関係だった2人が、中学野球の未来を形作っていく。