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丸刈り強要やお茶当番を廃止 深刻な野球離れ阻止へ、2人の中学教師が地域と取り組む育成改革

近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアで部活動の“新たなカタチ”を模索する動きを追う連載「少子化とブカツの未来」。中学軟式野球部の競技人口減少を受け、埼玉県川口市で発足した「川口市野球人口増加プロジェクト」と、越谷市で動き出した『野球の街越谷』実行委員会の取り組み。後編では、その中心として動く2人の中学教師の想いに迫った。(取材・文=河野 正)

「野球の街越谷」実行委員会会長、越谷市立大相模中学軟式野球部顧問の2役を担う長瀬翼さん【写真:河野正】
「野球の街越谷」実行委員会会長、越谷市立大相模中学軟式野球部顧問の2役を担う長瀬翼さん【写真:河野正】

連載「少子化とブカツの未来」、埼玉県川口市&越谷市・後編

 近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアで部活動の“新たなカタチ”を模索する動きを追う連載「少子化とブカツの未来」。中学軟式野球部の競技人口減少を受け、埼玉県川口市で発足した「川口市野球人口増加プロジェクト」と、越谷市で動き出した『野球の街越谷』実行委員会の取り組み。後編では、その中心として動く2人の中学教師の想いに迫った。(取材・文=河野 正)

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 野球観戦は楽しいが、自らバットを握ろうとしない小中学生が増え、少年団や中学校の軟式野球部に所属する生徒は減少する一方だ。休部や廃部をはじめ、単独ではチームを編成できず、合同チームとして大会に出場する中学校も多くなった。そんな危機的状況に陥った15歳以下の野球事情を改善するため、埼玉県では中学教師が先導役となって競技人口の拡張に取り組んでいる。

 川口市中体連軟式野球専門部が2017年2月に『川口市野球人口増加プロジェクト』をスタートさせたのは、15年に同市立安行東中学軟式野球部が、部員不足で休部になったことが発端だ。

 プロジェクトは[1]丸刈りの強要禁止[2]父母会のお茶当番廃止[3]サークルベースボールの普及を三本柱とし、野球好きの児童を増やして少年野球に入るきっかけを作り、中学進学後も続けてもらうのが目的だ。

 サークルベースボールは柔らかいボールとバットを使うため、グローブもヘルメットも不要。未経験者に投げる、打つ、走るという野球の楽しさを感じてもらうゲームだ。

 長年の慣例だった保護者からのお茶や弁当の差し入れを撤廃し、指導者による丸刈りの強制もご法度。古いしきたりを思い切って排除した。

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