部員ギリギリ…野球人口の急減に立ち上がった高校生 激しい競争「eスポーツも」イベント開催で探す打開策
急激な少子化の進行により、学校の部活動にも持続させるための努力が求められる時代になっている。そこで当座の部員集めだけではなく、その先にまで目を向けているのが神奈川県有数の進学校、県立多摩高校の野球部だ。授業に組み込まれた「総合的な探究の時間」の一環として、野球人口の減少を食い止めるべく研究と実地の活動を行っている。1月26日には、野球未経験の児童まで集めた野球体験イベントを開催した。野球の未来に対し、高校生は何ができるのか。頭と体を使って作り上げた現場を追った。

野球をやっていない子に魅力を伝えたい…高校球児が体験イベント開催
急激な少子化の進行により、学校の部活動にも持続させるための努力が求められる時代になっている。そこで当座の部員集めだけではなく、その先にまで目を向けているのが神奈川県有数の進学校、県立多摩高校の野球部だ。授業に組み込まれた「総合的な探究の時間」の一環として、野球人口の減少を食い止めるべく研究と実地の活動を行っている。1月26日には、野球未経験の児童まで集めた野球体験イベントを開催した。野球の未来に対し、高校生は何ができるのか。頭と体を使って作り上げた現場を追った。
川崎市の多摩川べりにある同高グラウンドに、子どもたちの歓声が響いた。13人の部員が迎えたのは、近隣地域に住む小学1~3年生70人だ。子どもたちの服装はバラバラ。ユニホームを着ている子もいればジーンズ姿、メジャーリーグ球団のアパレルを身につけている子もいる。すでに野球チームに入っている子“だけではない”ところに今回のイベントのミソがある。
部員たちは授業の一環として、野球という種目の競技人口減少はなぜ急激に進み、どうすれば食い止められるのかというテーマで研究を進めている。2年前に部員9人、マネジャー1人という、単独チームを編成するにはギリギリの人数まで追い込まれたのが大きなきっかけだった。未来の部員となってくれる子どもたちに、野球を始めてもらうにはどうすればいいのか、不安はどこにあるのかなど、児童や保護者を対象にアンケートをとってきた。
その結果、始めた時期として多いのは小学校低学年、理由は「友達に誘われたこと」だと知った。昨年1月、すでにチームに入っている低学年を対象とした野球教室を初めて開催。打ち、走り、投げるといった野球の魅力を伝えようと工夫をこらした。子どもたちが喜ぶゲーム形式にし、ポイントを重ねて競い合うような仕組みも作った。
さらに今年は、もう一歩踏み込んだ。野球未経験の子どもたちにも競技の魅力を伝え、友達を誘ってもらおうと考えたのだ。近隣の小学校で行われている学童保育の現場に部員が出向き、イベントをPRした。200枚ほどのビラを配り、集まってくれたのは8人。この子たちにどう野球の魅力を伝えるかが、大きなミッションだった。
イベントの総括を担った鈴木諒介(2年)は「どうやったら野球に興味を持って、参加してもらえるか。娯楽の多様化もあって、野球以外に目が向くことも多いと思うんです。eスポーツなんかもありますし」と、時代の波を証言する。サッカーなど他種目と比較された頃から、さらに変化は進んでいるという。