日大ラグビー部変革のカギ 菊谷崇HCと主将・平坂桃一が考える「主体性」とは何か
2028年に創部100周年を迎える日本大学ラグビー部が、変革に乗り出した。中野克己監督の下、最近は3年連続で大学選手権ベスト8入りするものの、4強の壁を越えられず。「チームに新たな風を吹かせよう」と新ヘッドコーチ(HC)に、元日本代表主将の菊谷崇氏を招聘した。
菊谷HCが目指す選手と築く「フラット」で「フェア」な関係
2028年に創部100周年を迎える日本大学ラグビー部が、変革に乗り出した。中野克己監督の下、最近は3年連続で大学選手権ベスト8入りするものの、4強の壁を越えられず。「チームに新たな風を吹かせよう」と新ヘッドコーチ(HC)に、元日本代表主将の菊谷崇氏を招聘した。
現役時代はトヨタ自動車、サラセンズ、キヤノンでプレーした菊谷氏は現在、「ブリングアップ・アスレティックソサエティー(BU)」の代表としてラグビー、アイスホッケー、ランニングといったマルチ競技で小中学生やコーチの育成に尽力。U20や高校代表などのコーチングスタッフとしての経験も評価され、抜擢された。
菊谷氏がコーチとして最も大切にするのが「主体性を持ったチーム作り」だ。コーチと選手の間に上下関係はなく、1人の人間として敬意を払い合う「フラット」で「フェア」な関係を構築。監督やコーチがいなくても、選手たちが考え、判断し、行動できるように導いていく。
3月1日から日本大学稲城グラウンドで始動した菊谷新HCは、どんなチーム作りを目指しているのか。また、選手たちはどんな想いを持って新HCを迎えたのか。菊谷新HCと主将でNo.8の平坂桃一選手に対談形式で、それぞれの想いをまっすぐにぶつけてもらった。前編では「主体性」について語る。
◇ ◇ ◇
――菊谷新HCを迎え、チームの雰囲気に変化はありましたか?
平坂:去年までは学生同士の上下関係に加え、コーチと学生の間に距離があると感じていましたが、キクさんがHCになってから、いい意味でフラットになって発言しやすい雰囲気になってきたように感じます。
菊谷:お、早速「フラット」って使ったな(笑)。
平坂:はい(笑)。練習面では今までと比べ、頭を使ったりコミュニケーションを取ったり、自分からアクションを起こすべき場面が増えました。
菊谷:僕は今までどういう練習をしていたのか知りません。録画映像があると言われたんですが、今までに影響されず、僕の思ったトレーニングや方法で選手の良さを引き出したいので。まずは楽しく。
――写真撮影では2人で肩を組んでいました。大学ラグビーではなかなか目にしない姿です。
菊谷:せっかくなんでね(笑)。
平坂:今までだったら、あり得なかったと思います(笑)。コーチ陣と学生、学年間、それぞれの距離が縮まれば、みんなが積極的にプレーしやすくなる。そこをどうにか縮めていきたいですね。