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沖縄でフィギュアスケートを愛する医学部生 たった1人で国立大学に部活を創設した理由

渡邉さんが沖縄フィギュア界に考える恩返しとは【写真:琉球大フィギュアスケート部提供】
渡邉さんが沖縄フィギュア界に考える恩返しとは【写真:琉球大フィギュアスケート部提供】

沖縄フィギュア界への貢献の思い「ジャッジになれば…」

「辞めたい」と考えたことは一度や二度ではない。踏みとどまってこられたのは、自分が沖縄で築き上げてきた部活の存在が大きかった。

「1人だったら『辞めてもいいかな』と思っていたと思う。仲間や先生がいるからこそ練習も頑張れるし、うまくいかないことの方が多いけれど、頑張っていたら目標だったバッジテスト6級も取得できた。人との繋がりが自分にはとても重要なものでした」

 高校時代に叶わなかったバッジテスト6級にも合格。目標の一つを叶えた。学業に充てる時間を増やすため、3月いっぱいで選手としては終止符を打ち、部活動には後輩の指導役として携わる。

 一つ、沖縄フィギュア界への恩返しも考えている。

「勉強に本腰入れないといけないのはもちろんですが、引退してからジャッジ(審判員)の資格を取ろうかなと思っています。私がジャッジになれば、沖縄でもバッジテストが今よりできるようになるかもしれない。沖縄でお世話になったスケート界に恩返しできるのかなと」

 沖縄でジャッジの資格保有者はかなり少なく、バッジテストが行われることはほとんどない。そのため、選手は県外へ自費で遠征するのが普通だった。渡邉さんも両親のサポートを受けていたが、卒業後に返すつもり。テストを受けるだけでも大変な沖縄の選手のためにも、一肌脱ぎたいという思いがある。

 昨年12月、さいたまスーパーアリーナで行われた全日本選手権の女子フリーを観客として観戦。坂本花織、樋口新葉らが北京五輪代表をかけた演技に心打たれた。

「練習を積み重ねないと、絶対あそこまで完成度の高いプログラムは出来ない。小さい頃からの努力を継続して、プレッシャーかかる大舞台で力を発揮できるところを尊敬します」。いつか、沖縄からもこんな選手が生まれてほしい。フィギュアスケートに注いだ情熱は、選手を引退しても別の形で心に宿し続ける。

【私がフィギュアスケートを愛する理由】

「10年以上スケートをやっていて、様々な経験をさせていただいた。自分が初めて壁にぶつかったのもスケートのこと。優勝した時の嬉しさ、達成感も教えてくれた。スケートで頑張ることを教えてもらって、それが勉強などに生きてきたのは感じている。いろいろな人に出会えたのもスケートのおかげ。先生、両親、あとはクラブの子とか。自分には無くてはならない、一緒に頑張ってきたものです」(琉球大フィギュアスケート部・渡邉那津子さん)

「滑っているときに楽しいなと、素直に思います。いろんなスポーツがあると思うけれど、氷の上で滑っているのは特別な感覚がある。ジャンプの練習の時に特に感じることですが、勇気が必要。空中に飛び出す感覚は、未だに怖いと思ってしまうタイプ。自分に打ち勝つというと言い過ぎかもしれないけれど『やってやるぞ』と心の中で思う感じを掴めたのは、スケートをやっていてよかったと思える一つです」(琉球大フィギュアスケート部・黒田尚希さん)

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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