パリ五輪出場を夢見る体操の高校2年生 「一人じゃできない」優勝にかける“初めての夏”
全国高校総体「インターハイ」が北信越で2年ぶりに開催される。コロナ禍にめげることなく、さまざまな「あきらめない」を持った出場校や選手を紹介する連載「できっこないを、やる夏だ。」。今回は8月9日に開幕する体操の鯖江(福井)・宮田笙子(2年)。2024年パリ五輪出場を夢見る逸材が迎える“初めての夏”で、個人より団体で優勝を「あきらめない」理由とは。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
連載「できっこないを、やる夏だ。」鯖江体操部2年・宮田笙子
全国高校総体「インターハイ」が北信越で2年ぶりに開催される。コロナ禍にめげることなく、さまざまな「あきらめない」を持った出場校や選手を紹介する連載「できっこないを、やる夏だ。」。今回は8月9日に開幕する体操の鯖江(福井)・宮田笙子(2年)。2024年パリ五輪出場を夢見る逸材が迎える“初めての夏”で、個人より団体で優勝を「あきらめない」理由とは。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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体育館にリュックを提げ、駆けてきたセーラー服の高校生は着替えた途端、アスリートの目に変わる。
「優勝できた時は、それなりの練習ができていたから、その結果が出る。できていない時ほど、後から考えると日々の練習が足りなかったと後悔する。しんどくても、本番でしんどい瞬間が来たら、やらないといけない。だから、練習し続けるしかない」
宮田笙子は熱い眼差しで練習を始めると、宙を舞い、くるくると回転した。
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高校2年生にして、すでにシニアを含め、全国クラスの一人。6月に行われた全日本種目別選手権、得意の跳馬で14.400点をマークし、東京五輪代表・村上茉愛に次ぐ2位に。床ではH難度「シリバス」を決める逸材も、高校でまだ手にしていないタイトルがある。
インターハイ――。昨年は新型コロナウイルス感染拡大により中止になった。10月に行われた代替大会で1年生ながら、個人総合で優勝。しかし、正式大会として2年生で迎える“初めての夏”への想いは強い。
「インターハイより大きな大会はあるけど、インターハイは高校生でしかない大会。ここで活躍しようと中学から思っていた。結果を残したいです」
故郷の京都で、体操を始めたのは4歳。体操教室に通う兄に付いていき、体を動かすことが大好きだった妹は兄を真似するうち、その楽しさの虜に。ジュニア時代から国際舞台を踏み、転機が訪れたのは中学生の時だ。
福井に訪れた合宿で、鯖江の田野辺満監督に「うちで体操をやらないか」と声をかけられた。恩師は非凡な下半身のパワーを見て思った。「この子は将来、日本の宝になる」。宮田も選手一人一人の特長を伸ばす指導力に惹かれた。
中学3年生の10月に鯖江市内の中学に転校。親元を離れ、下宿生活が始まった。
すべては高校で日本から世界に羽ばたくため。
しかし、桜満開で迎えた4月、予期せぬ事態が待っていた。