米NBC実況席がワリエワ演技中の解説放棄 異例の抗議「この演技は見るべきではない」
北京五輪は15日、フィギュアスケートの女子ショートプログラム(SP)が行われ、15歳カミラ・ワリエワ(ROC)は82.16点で1位発進した。ドーピング違反騒動で批判が集まる中で出場となり、米国で五輪放映権を持つ「NBCスポーツ」の実況席は五輪金メダリストら解説陣が演技中の解説を“放棄”。異例の抗議行動を、複数の米メディアが大きく取り上げている。
長野五輪女王リピンスキー氏ら解説者2人が演技中ほぼ喋らず
北京五輪は15日、フィギュアスケートの女子ショートプログラム(SP)が行われ、15歳カミラ・ワリエワ(ROC)は82.16点で1位発進した。ドーピング違反騒動で批判が集まる中で出場となり、米国で五輪放映権を持つ「NBCスポーツ」の実況席は五輪金メダリストら解説陣が演技中の解説を“放棄”。異例の抗議行動を、複数の米メディアが大きく取り上げている。
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「NBCスポーツ」で解説を務めたのは、98年長野五輪女子金メダリストのタラ・リピンスキー氏と08年世界選手権男子銅メダリストのジョニー・ウィアー氏。ともにドーピング陽性反応が出ながら、スポーツ仲裁裁判所(CAS)がワリエワの出場継続を認めたことを批判していた。米紙「ニューヨークポスト」は「カミラ・ワリエワの五輪出場問題、ジョニー・ウィアーとタラ・リピンスキーの静かなる怒り」と報じた。
記事によると、ワリエワがリンクに現れると2、3つコメントしただけで「放送はほぼ無音」。演技後になり、ようやく口を開いたウィアー氏は「私が言えるのは、これはカミラ・ワリエワのショートプログラムである、ということだけです」とコメントし、演技に対する言及を避けた。リピンスキー氏は「彼女は検査で陽性反応が出た。私たちはこのスケートを見るべきではありませんでした」と改めて出場裁定を批判した。
自身のツイッターで「この大会に参加するすべてのスケーターに対する侮辱」とつづっていたウィアー氏は、競技後に投稿した動画で「これまでの解説で一番大変だった。この大会に人生をかけ、出場にふさわしいスケーターをサポートしてくださった方々に感謝したい。ありがとう」と複雑な心中を明かしたことを紹介している。
リピンスキー氏は「問題は、彼女が滑るか滑らないかだけではない。もし彼女がメダルを獲れば表彰式は行われず、五輪に参加している全ての人に影響を及ぼします。もはや理解すらできない。これが他のスケーターの人生、そして五輪での経験にどれほどの影響を及ぼすか想像してほしい」「スケーターたちはこの瞬間に、この舞台に立つために人生をかけてきているのです。誰もが疑問に感じるでしょう。なぜ?」と断じたという。
今回のワリエワ出場裁定を巡っては米国の五輪委員会のほか、米フィギュア界のスケーターからも批判の声が続々と上がっていた。リピンスキー氏とウィアー氏の抗議行動についてもワシントンポスト紙など、複数の米メディアが取り上げている。
(THE ANSWER編集部)