なぜ、ナダルは復活できたのか 専門家分析「“蟻地獄”スタイル戻った」
男子テニスの世界ランキング2位、ラファエル・ナダル(スペイン)は、全仏オープンで史上最多10度目の優勝という偉業を成し遂げた。2年間の雌伏の時を経て、31歳のベテランはなぜ、優勝できたのか。全盛期を彷彿させるクレーコートでの強さを見せつけた復活劇の裏には「原点回帰」と「2メートルの修正」があったと専門家は分析している。
3年ぶり全仏V…31歳復活劇の裏にあった「原点回帰」と「2メートルの修正」
男子テニスの世界ランキング2位、ラファエル・ナダル(スペイン)は、全仏オープンで史上最多10度目の優勝という偉業を成し遂げた。グランドスラムでのタイトルは、2014年の全仏オープン以来。2年間の雌伏の時を経て、31歳のベテランはなぜ、優勝できたのか。全盛期を彷彿させるクレーコートでの強さを見せつけた復活劇の裏には「原点回帰」と「2メートルの修正」があったと専門家は分析している。
「ナダルは昨年まで手首の故障に悩まされていましたが、実はプレー面でも迷走気味でした」
こう語るのは、プロテニス選手の綿貫敬介だ。
「ジョコビッチが台頭した時期から『速いテニス』が男子シングルス界のトレンドになりました。ベースラインから2メートルから3メートル遠ざかった地点でラリーを展開するのがナダルの流儀でしたが、ショートポイント(サービスから早くポイントを奪う)を増やそう、速いテンポで打たなければ、ネットプレーに出なければ、とスタイルを変更した影響で、近年は本来の自分を見失っていた印象があります」
2014年シーズンは全仏オープンで優勝こそ果たしたが、左手首の故障、虫垂炎など健康面で苦しんだ。プレースタイルのモデルチェンジも、時流に合わせようとしすぎたために奏功せず。15年シーズンは独壇場のはずのクレーコートでもタイトルを逃し、翌シーズンもリオデジャネイロ五輪の3位決定戦で錦織圭(日清食品)に敗れ、銅メダル獲得はならなかった。