「日本人の選手はすごく綺麗です」 世界一と評された中野友加里のドーナツスピン論

佐藤信夫コーチの下で学んだスピンの「基本のキ」
――中野さんが信夫先生の下に師事したのは。
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「私が18歳の時、2004年の大学に入ったときです」
――中野さんが作っていたSP、フリーではスピンを何種類入れていたのでしょうか。
「SPが3つ。フリーは4つでした。今はフリーは3つですが、当時はまだ4つで。プログラムを作る時に4つ入れる時間が足りないほど組み込むのが大変でした」
――一つのスピンに何個のポジションなども決まっているんですよね。
「SPは3つとも種類が決まっていますが、フリーは選択肢が広がります。全部フリーなわけではないですが、これを入れなければいけないというルールがSPよりは緩和されるかなというところです」
――信夫先生のスピンの基本のキはどんなものだったのでしょうか。
「やっぱり最初のスピンに入る時ですね。遠心力を使って回り出すところの部分なのですが、そこの手の位置や顔の向き、あとはエッジの乗り位置。このエッジの乗り位置によって全く変わるということに、最初そのアドバイスだけでやってみてと言われた時にかなり衝撃だったことを覚えています。ああ、こんなにも速く回れるんだと。最初、先生に手を持ってもらって、ペアの選手みたいに回してもらったのですが、そこで乗る時に『この位置、今手を締めるんだよ』と声掛けをもらいながらやった時が、あれは衝撃でしたね。こんなにスピンって違うのかと。そういう風に何かのアドバイスのもとで最初回ってみると、そこからどんどん自分で研究することもできるので、探求心も生まれるなと思います」
――基本のキができることによって応用も膨らんでいきますね。
「最初がやっぱり一番肝心だと思います。間違った姿勢を取ったまま回ってしまうと、ジャンプもそうなんですが、最後までその癖がなかなか抜けずに来てしまいます。最初に土台となる、それこそアップライト、シット、キャメルの3ポジションの基本姿勢はお手本通りに添ってやった方がいいかなと私自身も思っています。スピンは癖があるものは少ないですが、たかがスピンと思わず、今競技をされている皆さんもぜひやってほしいと思います」
――ドーナツスピンのポジションの作り方はどうなっているのでしょうか。
「まずは右足軸のキャメル姿勢を取ります。私は右利きなので左回転ですが、その場合はキャメルのポジションから、右手で左足を持ちいかに速く頭にくっつけるか。その状態から身体を横に倒して回りますが、軸足は右足になります。左手はフリーです。好きな位置で上げたり、自分の体に寄せたりして速く回れる位置もしくは曲に合わせて動かしたりということが可能になります。
体を横に倒すというのはフェンスと体の体幹部分が平行にして回るイメージです。これはぜひ、これから練習をされる方もしくは今されている方にトライしていただきたいのが、キャメルポジションからドーナツスピンに移行するときに膝の位置を変えないこと。変わってしまうとその分、失速してしまう可能性があるので、膝の位置をできるだけ変えずにドーナツポジションに移行すると速く回れると思います」